第7話


 今日は、夏祭りである。自分から誘った事を今頃になって俺は、嘆いて居た。


 何故なら、絶対人多くなるだろ! 一輝も一緒ならば、まだ気が楽なのだが、あいつは、一向に来る気配が無い。しかもこのままだとあの女と二人きりとか、もはやデートじゃねぇかよ・・・・・・


「何でだろな・・・・・・はぁ」


 つい、口に出してしまっていた。


「どうしたの信くん? 」


「!?」


 俺の後ろに浴衣を着てき来た橘が、不思議そうな顔をして俺に問い掛けていた。


「何もねぇよ」


 俺は、咄嗟に誤魔化したが、気づかれていなければいいが。俺は、目に移動している橘に気付いた、なんか黙って下を見ていた。


「その、なんだ・・・・・・、橘浴衣似合ってるぞ」


 俺の言葉にハッとした、橘が、照れ隠しに開き直って俺に、なんか言って来た。


「当たり前じゃないの! 似合って当然よ」


「さいですか・・・・・・」


 俺は、笑いながら流し一輝の事を聞いた。


「間宮くんあとから行くかもってメール来たわ」


「そうか、それじゃあぼちぼち歩くか?」


 俺は、一輝の事も聞いてたので、


「そうね、行きましょう!」


 待ち合わせの公園から15分くらいの距離だったが、二人で歩くと少し遠く感じた。


 神社に着くと、もう既に屋台に人が集まってた。


「たこ焼き、焼きそば、りんご飴、色々有るわね〜信くん!」


「それ全部食べるのか? 橘」


「良いのよ〜夏祭りぐらい! 食べてなんぼじゃない!」


 そんなに細いのに、どこに入ってるんだよ・・・・・・俺は、イカ焼きを食べつつそんな事を考えてた。


「あっ、信くん! あそこに金魚すくい有るじゃない〜行くわよ」


 そう言うと橘は、金魚すくいのある場所に向かって行った。


 お前いつの間に食べ終わってたんだよ・・・・・・。


「橘! あまり先々行くなよ・・・・・・迷子になるぞ!」


 あまり聞いているようには、見えなかったが。


「分かったわよ・・・・・・そ、それより早く金魚すくいしましょ! 私金魚すくいやりたかったの」


「金魚すくいだけ、あまりした事無いのよね〜下手だったから」


「そうだったのか、それじゃあとりあえずやってみろよ後で変わってやるから」


 そう言って屋台のおっちゃんに、代金払ってポイを受け取った。


「あまり力入れんなよ〜紙が、破れるからな」


 言ってる傍から失敗してた。その後もう何回かやってたが、諦めたらしく俺がやる事になった。


「金魚すくいってのは、あんまり慌てたりせずによポイを横から入れて・・・・・・ほいっと」


 俺は、1発ですくえてしまった。


「兄ちゃん中々上手いね〜彼女に良いところ見せれたし良かったな」


 屋台のお兄さんが、笑顔ですくった金魚を渡して来た。


「いや、そこまでですよ」


 金魚を受け取って橘の方を見たら下を向いていた。


「どうした橘?」


「別に・・・・・・、つ、次行くわよ」


 橘は、足早にほかを見に行った。


「あんまり、遠く行くなよ」


「あれ、信条くんじゃない?」


 俺達とは、反対方向からクラスの奴の声が、聞こえてきた。


「信条くんも祭り来てたんだ!」


「まぁな」


「信条くんは、1人じゃないわよね間宮くんと?

 あっ、もしかして杏奈ちゃんと?」


「一輝も来るはずだったんだがな橘だけだ」


「そうなんだ〜、あれ、でも杏奈ちゃん居ないけど? 一緒じゃないの?」


 そう言われてみれば・・・・・・


「あ、あのすらっとしていて薄紫の浴衣をきている女性見ませんでしたか?」


「見てないな〜ごめんね」


 あいつどこに行ってるんだよ・・・・・・、ん!? 一輝じゃね? 女と来てやがる、ってそんな事よりあいつにも聞くか・・・・・・。



「あれ、信くんが、居ない・・・・・・」


 もしかして、私あの時先に行っちゃったからはぐれたのかな・・・・・・。


「すみません、えーと、身長が、175cmぐらいで細身の目付き悪めの男性見ませんでしたか?」


「君か! 彼なら真っ直ぐ探しに行ったよ」


「ありがとうございます」


 私の事探してくれてるんだ・・・・・・。


 私って付き合ってる訳でもないのに一緒に居てるけど、このままいていいのかな? 彼は基本的何も言わないけど。


「痛っ!!」


 私は、足を見たら下駄で走ってたから足擦りむいてた。もう嫌になっちゃうな・・・・・・



「パシン!!」


 俺は、一輝の頭を叩いた。


「いってぇ!!誰だよ俺の事を・・・・・・げっ!! 」


 一輝が、振り向いたら後ろには、いつもと違う俺がいる事に気付いて、なんか言おうとしていたのを遮って俺は、話し出した。


「橘が、居なくなった」


「橘が、居なくなったて?? お前一緒にいたんじゃ無いのかよ・・・・・・」


「金魚すくいの後、俺は、クラスメイトにたまたま会って話していたその間にどっか行ってしまった」


「ちゃんと観とけよ!! いくらお前でもそれはダメだろ・・・・・・」


「俺の事はいいとにかく探すの手伝え今ならまだ間に合う」


 一輝が、時計を見た


「まだ間に合うな、手伝ってやるからお前さっきの事誰にも言うなよ」


「お前と、居た女の事か?」


「後でおまえには、後で言うから」


「分かったお前は、反対方向から探してくれ! 俺は、境内の方向かってみる」


 一輝一緒にいた子に事情を説明したら待ってるとの事だったので、探しだした。


「あいつ・・・・・・ほんと普段と違いすぎんだよ休みの時は、周り見えてねぇ」


 そんなこと言いつつも俺は、必死に探していた


「はぁ・・・・・・ほんとにもう嫌! 何でこうなっちゃうかな〜」


 私は、信くんの取ってくれた金魚に話しかけていたらなんだか涙が出てきた。


「ちくしょーなんで今日に限ってあいつに見つかるんだよ、はぁ早く見つけ!? この声って」


 俺は、声が、聞こえる方に行ってみた。すると


「やっぱり居たな。って! 泣いてるじゃん!

 とりあえず信に連絡しないとだな」


 一輝は、急いで電話をかけた。



「プルル〜!! プルル〜!!」


 携帯が鳴った一輝からだった。


「どうした?」


「見つけたぞ! 信、場所は神社の奥の小さい建物有っただろ? そこに、居てるからお前が行ってやれ! そういう事だ俺は、待たせてるから戻るぞ!」


「分かった、助かった」


 俺は、一輝と別れて走り出していた。


「いくら付き合ってなくても、寂しい思いさせてたらダメだよな」


 俺は、一輝が言っていた場所に向かっていたら、男の声が、してきた。


「1人なら良いじゃん! 俺と楽しいことしようよ」


「・・・・・・」


「あれ・・・・・・聞こえてないのかな〜? それじゃ聞こえるようにしてあげようかな!」


「!?」


 俺は、間一髪で橘の顔を叩こうとした右腕を掴んだ。相手も振り解こうとするが、俺は思い切り掴んでいた


「いててて!何すんだよてめぇ!!」


「それは、俺のセリフだボケ!! 女に手を出そうとしてんじゃねぇよ」


 俺は、立ち上がろうとする男を蹴り飛ばしそのまま殴っていた。流石に相手も、一瞬すぎて何も出来ずに蹲っていた・・・・・・、一応言っておく手加減は、したぞ! 蹲ってる男はほっといて俺は、橘に近づいた。


「こんなところ居たのか、ごめんな」


 さっきまで鬼の形相だった俺にビビってるのか、少し引いていたが涙を流してた橘が、話し出した。


「信くんは、謝らなくていいの私が、勝手に行っちゃったから悪いの本当にごめんね・・・・・・」


「そんな事ねぇよ、俺が橘、お前をちゃんと観てなかったのがダメだったんだ」


 俺が、暗い顔していたように見えたみたいだ。


「信くんそんな顔しないで・・・・・・」


 少し困っていた橘は何を思ったのか話し出した



「助けてくれてありがとう信くん提案なのだけど言って良い?」


「良いぞ!言ってみろ」


「名前で呼んで貰えないかなって思ってたの」



「・・・・・・分かったよ」


 俺は時計を見たまだギリ間に合わねぇなもうまた来年でもいいか


「杏奈、歩けるか?」


 杏奈は少し驚いていたが


「あっ! 今思い出したの今私足痛くて」


「おぶってやるよ!」


「そんなの恥ずかしいじゃない・・・・・・」


「歩けないんだろ? それとも歩くのか?」


「・・・・・・お願い、します」


 ほんと素直じゃねぇな、なんて言ったらキレられそうだなって思いつつ歩き出した。


 

夏が、終わりを告げ二学期が始まる・・・・・・


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