甘く

 しかし、ルズランは、翌日のサーカス終了後も来た。今度はクッキーをもって。


 翌々日も、来た。今度はチョコレートをもって。



 毎日、私はルズランにお菓子を食べさせてもらった。私が遠慮しても、彼は私にお菓子を食べさせるのが愉しいと言うのだ。



「可愛いうさちゃんと交流するのは愉しいよ」


 彼はそう言って、いつも笑う。白い歯の光る、きれいな笑顔。それで、私もつられて笑ってしまう。



 ルズランは、かたくなだった私の心をすっかり溶かしてしまった。甘い甘いお菓子で溶かしたのかもしれない。それとも、その優しさで溶かしたのかもしれない。



 私は、サーカスの後の時間が毎日待ち遠しくなった。そのおかげか演技にも身が入って、「最近いいじゃないかミウ」と、団長にも褒められたくらいだ。

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