第3話 ウェディング

 撮影日の当日になった。奈緒は早々に試着室へ案内される。


「奈緒さんがOKしてくれるとは思いませんでしたよ。」


「こういうの嫌いじゃないと思いますよ。」


 待合室で俺と片瀬さんで話をしていた。


「奈緒さんと結婚は考えているんですか?」


「まだそこまでは考えてないですよ。」


 その発言を聞いてか片瀬さんの顔つきが変わる。少しにやついた表情になった。


「良かった! なら私にもまだ可能性があるのですね?」


「えっ? 何いってるんですか?」


「いやー、最初から似合っていないなと思ったんですよ!」


 まさかこんなこと言われるとは思っていなかった。片瀬さんは最初店で奈緒と会ったときに一目惚れし、嫁として迎え入れるようとしているという。


「一応、俺彼氏なんですけど。彼氏に向かってそれ言います?」


「私は自分の欲しいと思ったものは手に入れて来ました。 今回も確実に頂きます。だってまだ彼氏なんですもんね。」


 確かに自分は彼氏で、結婚をしているわけではない。まだ結婚しても幸せに出来る自信がないし、俺と結婚して本当に奈緒は幸せなのか。


「私と貴方は格が違うんです。私には財力もある。容姿もある。」


「うわー。自信家なんですねー。」


「実業家なんてこんなものですよ」


「わかりました。とられても文句は言いません。奈緒が選ぶものだと思うので。」


 俺は奈緒と過ごしてきた時間にかけることにした。実際片瀬さんと結婚して奈緒が幸せになるならそれでも文句はない。


 だが、あのように言われて引き下がる訳にはいかなかった。


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