第2話 宣戦布告

 その後も奈緒と片瀬さんは楽しそうに話している。俺が入る隙が無いくらい楽しそうだ。まぁ、楽しそうだからこの空気壊すのも奈緒が可愛そうなので、俺もずっと頷きながら聞いていた。


「ちょっと~ 弥生さん聞いてます?」


「あっうん。聞いてるよ?」


「その反応は聞いてないやつですね。せっかく弥生さんがどんだけいい人か片瀬さんに話してたのに。」


「あのね。そう言うのは本人の前でしないのが普通だから。」


「奈緒さんが一生懸命お話ししてくれましたよ。 本当にいい人だ弥生さんは!」


「あざっす。何か片瀬さんみたいな人に誉められるのは嬉しいです。」


 片瀬さんは本当に素晴らしい人だと話しているとわかる。話し方といい全てがワンランク上の男だった。


「そうだ! 今度私が手掛けているウェディングドレスの撮影会があるんです。そのモデルを是非奈緒さんにやっていただきたいのですが。」


「そんな大役私には無理ですよ。」


「いえ!! 奈緒さんだからお願いしているんです。」


 そういうと俺の方を奈緒が見る。大体こういうときは俺に答えを求めている時だ。


「いいじゃん。 一生の思い出になるから行ってきなよ。」


「わかりました。片瀬さんよろしくお願いいたします!」


「本当ですか? ありがとうございます!それでは打ち合わせ等もあるので今日はこれで失礼します!」


 そう言って片瀬さんはテーブルに万札をおいて出ていった。申し訳ないと思い後をおったが間に合わなかった。


「あちゃー。行っちゃったよ」


 万札と一緒におかれた名刺を見ると、初めましてということで私に払わせてくださいと書いてあった。


(うわー。これはめちゃくちゃ出来る男だー。)



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