第38話 手を繋いで

 やっぱり1歩踏み込むと夢の世界だ。大人になってもわくわくしてしまい、テンションが上がって走り回ってしまう。


「奈緒! 次あっちいこうぜ!!」


「何でこんなに元気なんですか~。少し休憩しましょーよー。」


「なにいってるんだ! こんなに楽しいとこで何故疲れる。」


「前に来た時はもっと大人しかったじゃないですか~。」


 前来たときはWデートみたいになって、女の子と遊園地へくるもの初めてだった。そのため、周りからの視線もありとてつもなく緊張してしまい、男友達と来てるいつもの自分とは全く違う姿だった。


「前は緊張してたからな。まだ奈緒彼女じゃなかったし。スゲーヤバかったあの時は。」


「今は緊張しないんですか?」


「ちゃんと彼氏彼女だしね。」


「前より魅力無くなったとかじゃなくてですか?」


「前も今も同じで可愛いよ!」


「あーー。何でそうハッキリと言えちゃうんですかー!」


 そう言って、奈緒が手を握ってくる。


「手繋いでいいですか?」


「えっ。うん。いいよ。」


「何でこれは照れるんですか?」


 繋いだ手はいつも小さく綺麗な手だ。俺のゴツゴツしたデカい手とは大違い。


 このちょっとしたことが、幸せだななんて思う今日この頃。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る