第37話 あの時

 車をとばして遊園地へ向かう。助手席が非常に慌ただしいのを覗けば、天気も良く朝の気持ちいい風が窓から入ってきていて凄い良い。


「あー。ちゃんとメイクする時間なかったです。」


「今やってるからいいじゃん。」


「大きい鏡でやるのと全く違うんですー。」


「そこまでしっかり化粧しなくても元が可愛いんだから大丈夫でしょ?」


 そう言うと奈緒は顔を赤らめて頬を膨らませる。


「嬉しいですけど、照れますし。化粧はちゃんとしないとだめなんで。」


 奈緒は元からナチュラルメイクであんまり化粧をする意味が俺にはわからなかった。でも、そこには譲れない何かがあるようでいつも必ず化粧をしていた。


「今日は付き合った思い出の場所に行くんでしっかりしないとダメなんです。」


「あー。確かに思い出の場所だね。」


「それもちゃんと2人で行くのは初めてなので凄い楽しみです!」


「おう!! その日にしっかり寝坊するのもさすがだ!!」


 奈緒が凄い不機嫌になる。


「弥生さんがちゃんと起こしてくれないのがいけないです。」


「いや、俺6時に起きてずっと起こしてたよね?」


「あんなんじゃ起きません。」


「そこまでいくともう何も出来ない。」


 そんな会話をしながらやっと遊園地へ到着した。

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