第31話 もってる男
公園のベンチに座ってどれくらいたっただろうか。俺も美穂さんも沈黙。時間だけが流れていく。
「弥生ってズルいよね。何かいいタイミングでこっちの心の中に入ってくるっていうかさ。」
そんなことを言われても実感がない。でも、昔奈緒にも言われたような気がした。
「いつもは嫌がってても、いざというときは、優しくしてくれるし。」
「本当に彼女ができる理由がわかる。彼女さんも幸せだろうね。」
「いや、それは本人に聞かないとわからないっすよ。なかなか遊んであげられないし。」
その時、強い風が吹いた。一瞬目を閉じると美穂さんに軽いキスをされた。
「えっ、ちょっ。美穂さん何してんすか?」
「私が、弥生の彼女さんと付き合う前に出会っていたら付き合えたかな?」
まさかの告白に、何も返答ができなくて固まっていると、
「冗談! お酒って恐いね~笑 じゃぁ、終電あるから帰るねー。」
走り去っていく美穂さんの後ろ姿。それを眺めながら頭が働かなくなっていたので、ベンチにただただ座っていた。
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