第30話 夜風に吹かれて

 このままではよからぬ方へ進んでしまう。慌てて、歩く足を早めた。


「弥生ちょっと歩くの速くない?」


「そうですか? 変わらないと思いますけど。」


 平然を装う。そうしてないとこの夜の空気と妙にエロい美穂さんを見ていたらどうにかなってしまいそうだ。


「弥生、わがまま言っていい?」


「どうしたんすか?」


「もう少し、一緒にいてくれないかな?」


 いつも職場では強気でいる美穂さんが今日に関しては凄い弱気だ。逆にこんなに下手にでられると断れない。


「終電近いから少しだけですよ。」


「ありがとう。そこの公園いこ?」


 小さな公園のベンチに座る。隣を見ると耳に髪をかけ、少し火照った首筋が見える色っぽい女性。今までにこんなことは無かったので、奈緒と初デートした時のように、緊張する。



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