第19話 俺のターーン

 奈緒に連れられて園が一望出来る橋に着いた。凄い綺麗で、良く恋愛ドラマでみるプロポーズをするシーンが撮られるような所だった。


「ここ思い出の場所なんです。私が唯一付き合った人との。。。」


 そう言う奈緒の横顔は寂しそうで、だがそれが逆に美しく見える。真剣は話をしてくれてるのに申し訳ないと思いながらドキドキしていた。


「奈緒ってやっぱり彼氏居たことあるんだね。 そんだけ可愛いんだから当たり前か!」


 何故か残念に思っている自分がいた。いつも俺の近くにいて慕ってくれる女の子は初めてだったから。恋愛感情が無いわけではない、俺には釣り合わないからと好きにならないように心掛けていたのに、そう思ってしまった。


「その人は凄いカッコよくて、私も全て捧げられると思った人でした。その人にここで告白してもらえた時は凄く嬉しくて大泣きしました。」


「へー。そんな風に思えるって凄いいい人だったんだね!! 何で別れちゃったの?」


 やっぱり顔が全てだったんだなと思い、落ち込みながら悟られないようにいつも通りに質問する。


「その人、何人も彼女さん居たんです。それでも、その中でも1番になれればいいと思って頑張ったんです。私まだJKで狭い世界しかあんまり知らなかったんで。」


「それで、結局フラれちゃったの?」


「はい。。。」


「こんな可愛い子が何又もかけられるなんておかしいだろ!!」


「大体この話すると皆さんそう言います。俺は違うよとかって。でも、信用できなくなっていて。。。」


 奈緒が初めて自分について話してくれて、そんな過去があったのを知って驚いた。確かにこんな可愛い子に彼氏がいない方がおかしい。


「でも、弥生さんは違いました。いつも助けてくれて。素直だし。」


 雰囲気が凄く暗くなっていたので、少しでも明るくしたいと思い、大声で笑いながら答えた。


「そりゃ、この見た目と顔だ! 素直さなかったら人に好いてもらうなんてできないよ笑」


 それを見て暗くなっていた奈緒の顔が晴れる。いつもの笑顔でこっちを見つめてくれている。


「そんだけ可愛い笑顔持ってるんだ。暗くなるなよ! これからいい男はいっぱい現れる!!」


 正直、俺は奈緒のことが好きだ。釣り合わないからやめようと思っていたが気持ちに変わりわない。それは、今こうやって色んな話をする前から、バイトで一緒に居るときから好きであったと思う。


 だが、今それを伝えるのは違うと思った。他の男も多分こうやって告白してきたのだろう。それを断っているのだ。ましてや俺何かが告白しても成功はしない。


「弥生さんて鈍感何ですか?」


 奈緒が俺に向かって唐突に言う。何を鈍感と言われているかわからなかった。


 そして、首を傾げている俺に向かって奈緒が急に飛びついてくる。


 俺は何が起きてるのかわからず、ただ立ち尽くした。


「ちょっ、奈緒どうした!?」


「好きなんですー!弥生さんのことずっと! 最初助けてもらった時から!!」

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