第14話 冴えないHEROと名脇役

 大和達と無事に合流できた。奈緒も絵美ちゃんが何ともなくてほっとしたようだ。


「何とかしたみたいだな。弥生!!」


「ちょっと焦ったけどね。でも奈緒に何ともなくてよかった!」


「この後、どうするか? さすがに、今日はもう帰るか。」


 大和が珍しく気を使っている。それだけ、奈緒達には大変なことであったと思っているのだろう。


「逆に今帰りたくないです。 私もっと大和さんのこと知りたいし、助けてもらったお礼もしてたいです!」


 あらー、絵美ちゃんが何か変なスイッチが入ってしまったようですね。大和さんは大変幸せなことになっているのを気づいているのでしょうか。


 そう思い大和を見るとまた口を開けて目に涙を浮かべながら石化していた。


「そういうわけで、大和さん借りますね!」


 そういうと、大和の腕を引っ張りまた遊園地の方に向かっていった。


 取り残された俺と奈緒。


「絵美ちゃんってあんなに積極的なの?」


「えっ。あの子今まで告白されたことは会っても付き合ったことないし、今まで自分から行くなんて考えられないですよ。」


 大和に春が来たのを感じ取り、俺はそこに崩れ落ちた。今日ほど親友を恨んだ日はないだろう。


「ふっ。。。名脇役になってやったぜ。大和はHEROだったな。」


「何言ってるんですか? 絵美からしたら大和さんがHEROですけど、私からしたら弥生さんがHEROですよ?」


 そういって、目の前に顔を持ってこられる。可愛い顔が急に目の前に来たので驚きながら親友が旅立っていく悲しみに泣いた。


「年下に慰められてる、、、泣」


「えっ? 本気で言ってるのに!」


 そのやり取りをした後、時間がもったいないということになり、俺達も遊園地に向かったのであった。

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