第13話 冴えないHERO

 GPSはショッピングモールの裏駐車場にあった。大和のiPhoneでマップを開きながらすぐ向かったので時間はかからなかった。


 4人組の男に1人女の子が見えたので確信に変わり、飛び込んだ。


「どうも~。本日2回目の登場です!」


 4人組は笑いながらこっちを見てくる。1人が掴みかかってくるがやけに軽いから無視して引きずりながら前に進む。


 こんなのアメフトのタックルなどに比べたら屁でもない。だからヤンキーにあんまり恐怖心などはなかった。


 殴りかかって来たのでひたすら耐える。正直そこまで強いパンチでもないのでとりあえず殴り疲れるまで耐えることにした。丸まって地面に倒れていればそこまで痛みも感じない。アメフト部を舐めないでほしい。


 そこに警備員が駆けつけ男達は一目散に逃げ出した。警備員と奈緒が心配そうに駆けつけてくる。


「弥生さん!! 大丈夫ですか?」


「君!大丈夫かい?」


 俺はパッと立ち上がり何事も無かったかのようニコッと笑う。


「なんともないですよ笑 あれくらいじゃ怪我もしないですよ笑」


 警備員も唖然とした顔をしてこちらを見つめていた。


「もう! 何でやり返さないんですか!? 弥生さんの方が絶対強いじゃないですか!!」



「いやー。別に痛くなかったし、変に殴り返すよりこっちの方が性に合ってるのよ笑」


 そういってニコッと笑うと目の前には大泣きしている奈緒の顔があった。


「凄い怖かったです。いつも弥生さんが守ってくれてたのに今回は居なかったから本当に駄目かと思いました。」


「どうする?お嬢さん警察行くかい?」


 警備員さんが一応警察に連絡するか尋ねてくれた。俺的には行ってもらいたかったがそれを奈緒は断った。よって俺も通報は大丈夫ですと伝え大和達のところへ戻った。


「奈緒大丈夫か?」


「大丈夫じゃないです。泣きつかれました。おんぶしてほしいです。」


「あーいいよ! ほらのりな。」


 奈緒は顔を真っ赤にしてこっちをぽけーと見ている。


「恥ずかしくないんですか?」


「恥ずかしくないよ? のらないなら行くよ~」


 そういって歩き出そうとすると奈緒が後ろから飛び乗ってきた。


「大和達の手前までね?」


「やっぱり恥ずかしいんじゃないですか~」


 とりあえず、何もなくてよかったと思いながら奈緒を背負って歩き出した。


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