第三章 翼を持つ者 パート7ナギサイド

 カチュアたちは避難民を都に避難を完了すると、お城の謁見の間に招待されたが。


「眠い〜」


 カチュアがあくびをした。

 カチュアが、謁見に行くのを面倒くさがって、ユミルを送っていくついでに、ルナ一人で謁見に向かった。その間、エドナと二人で馬車の中で待っていた。


「カチュアさんちょっといいですか?」

「どーしたの?」


 エドナが訪ねる。


「どうして、あの時、【フェンリム】の攻撃を、跳ね返えせたのですか?」


 【フェンリム】のあのビームを跳ね返したときか。


「えーとね、」

『カチュア、私が説明する』


 カチュアじゃ、話が遅すぎる。

 確か・・・・・・。


『秘密はカチュアの今履いてある靴よ』

「これのこと?」


 カチュアは足を上げる。


『下手に振らないでよ』

「あ? そっか、刃物が出ちゃうか~」

「え? 刃物!?」


「そういえば……なんか、刃物みたいのが出てきたような」

「仕込みでね、カチュアが蹴るなどすると靴底からは物が出てくるのよ」


「これって」

『ルナがあの、武器屋の人に特注で作らせたのよ』


 実際見た時は、ビックリしたわ。ルナって子は恐ろしいこと考えるよね。カチュアは剣だけでなく、手や足も使うからといって、あの子なりに考えてくれていたのね。まあ、カチュアは剣を壊しちゃうからちょうどいいかもしれない。そのうち、そっちも壊したりして。


「でも、何でそれで跳ね返せちゃうのですか?」


『跳ね返しはあくまでおまけ。なんでも、【魔術】を跳ね返し、確か……』

「【ミスリル】制で武器にする場合、軌道を描くように振ると跳ね返せることができるのです。ユミル様の剣もそれです。まあ、あまり強い【魔術】だと難しい場合もあります」


 戻ってきたルナがさり気なく、話に入ってきた

 確かにその話は聞いていた。でも、カチュアはそれでも【フェンリム】のビームを跳ね返した。あの子、もしかして、可能だってことを確信していたのかな。


「お待たせしました」

「どうだったの~?」

「王様にしては・・・・・・軽い」


 あ……軽いんだ。


「それは、軽いよ、重かったら飛べないんだから」


 エドナさん、性格の方よ。


「あ! カチュアさん。なんか、国王から御礼の品を貰ったわ。もう、くると思うのだけど」


 四人の兵が大きな剣を担いできた。


「お待たせしました、ささやかなお礼だ。もし良ければ、この剣をお使いになってください。それでは」


 そういって、兵たちは去っていきました。

 

「この剣は?」

「かつて伝説の刀鍛冶が作った剣らしいよ。カチュアが使っている剣よりかは小さめの大剣ではあるんですけどそれ以上に重たいそうです」

「でも、いいの?」

「国王様からでこの剣を扱える人はいないとのことでこの国を救ってくれたあなた方に贈るとのことです」


 まあ、見たとこと、この剣、普通に扱えるのはカチュアぐらいよね。


「ただの剣ではないですよ。抜いてみてください」


 カチュアは鞘に納めている剣を少し抜くと、刀身から黄色く光っていた。


「【魔剣】と呼ばれているもので、常に【魔術】が発動している状態で、使わないときは鞘に納めたいといけない代物よ。【魔術】を使うのが仁賀田なカチュアさんでも使えると思うは」

『そんな凄いのが、あるんだね』


 ずっと、気になっていたことがある。


『なんで、ユミルがいるの?』


 ルナが戻ってきた辺りからかな。カチュアの隣に座っていた。


「あの〜、ユミル様のお父様が心配しるのでは?」


 するとユミルから思わぬセリフが。


「私も付いてきていいですか?」

「え?」

「あの〜、ユミル様のお父様である、国王様が心配しるのでは?」

「『行ってらっしゃい』って言ってくれました」


 なんか、軽い、軽すぎでしょ。


「でも、何ですか?」


 エドナがそう尋ねると。


「王宮にいるよりも、カチュアさんの隣にいる方が安心するので」


 そんな理由かよ。お城の人たちはどんだけ、この子にストレス与えているんだな?


「それは仕方がないは~」

「そっか、仕方がないですね」


 そこのノーテンキコンビはよいとして……。


『ルナはいいのか?』

「よくはないですけど……、ユミル様って、最近、大好きなお兄様を亡くされているらしいのよ。その方でしか懐かなかったらしいのよ。きっと、国王様も心から信頼されている人と一緒にいた方がいいのかと考えだと……」


 そっか、彼女にそんな過去が。軽いと聞いていたけど、娘のことを考えている、いいお父様なんだね。


「……そう願いたい」


 うん、会ったことない人にこういうのも失礼だけど……そこまで考えはないだろう。


「よろしくお願いします」


 カチュアの腕に抱き着く。

 てか、この子もしかして……カチュアに惚れているのかな?


「ええ~、よろしくね~」


 カチュアは誰でも仲良くできるよね。初対面でも。

 それにしても……ノーテンキコンビと出会ってから色々あったわ。それ以前の記憶はないけど。

 世話焼きだけど研究バカな女の子に、そのサド気味の兄。人の名前を憶えていられない武器屋のおっさん。今日は騒がしい金髪姫。中々キャラが濃い人たちとも出会って。

 なんか、今度は性格が正反対なカチュアの幼馴染が出てきたりして。




第三章  翼を持つ者 完

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