第四章 再会 パート3ナギサイド

 急に皆と別れてどうしたんだろう? カチュアは。

 街の裏道と言うのか、なぜか周りに人が来そうなところに来てしまった。


『カチュアどうしたの?』

「しー」


人差し指を唇に当てる。

 「しー」って、あなた以外聞こえないから! 私が騒いでも、いや、実際は騒がないけど、周りには聞こえないでしょ! エドナやルナにも聞こえるようになったから、忘れているのかな?


 カチュアが建物の角から何かを除くように顔をだす。

 目先には怪しい人が五人もいる。よく見れば、目の辺りを隠す仮面を付けている。


「うまくいっているか?」

「ああ、後は騒ぎを起きている間に例のあれを」


 あの人たちはヴァルダンとかいう国の連中? それだったら、あっさり、侵入許しちゃっているし。まあ、【転移術】なんてあるし、可能か。


『あきらかに怪しい人たちだけど、どうする?』


 すると、カチュアはその怪しい連中の前に出てきてしまう。


「なんだ!? 女か!」


 ちょっと! 出てきちゃってよかったの? さっき「しー」と言っておきながら。


「ち、見られたなら、仕方がない! ここで消えてもらうよ!」


 敵の攻撃を交わした、その敵の腕を掴み、関節を逆側に折り曲げた。


「あーーー! うでが・・・・・・うでがーーー!」


 地面で転がりながら叫ぶ。


「油断するな」


 さっきの敵のように腕を掴み、関節を逆側に折り曲げた。

 だが、カチュアはすぐに敵を蹴り飛ばし。

 別の敵が恐らく【魔術】の類である炎の攻撃を避けるためだ。

 この攻撃のタイミングは明らかに自分の味方を巻き込むものだ。


「ちょっと! なんで味方まで巻き込むの〜?」


 カチュアはこのことに気づいていたからこそ、敵でも炎の攻撃に巻き込まれないよう、蹴り飛ばしたのだ。


 敵がまた、【魔術】による攻撃を仕掛けようとした時だ。

 突然、その敵が前方に倒れていった。

 いきなり、倒れた敵を「何事か!」って感じで思わず見てしまった、両サイドにいた味方。

 その隙は、カチュアは逃さなかった。

 敵が気づいた時には目の前にカチュアがいた。カチュアは右から左に残りの二人を殴り飛ばした。

 手加減はしていると思うんだけど、また、顔の骨が砕けていると思う。


 カチュアを不審者認識しないんだね。

 もしかして、この子、他にも備考していた人がいたことに気づいていたのね。


「あなたはこいつらの仲間ではないみたいなだ」


 女の人がカチュアの方に向かって歩いてきた。さっきの【魔術】の発動を妨害してきたのが、この人ね。


「けど、あんまり、無茶はしないように」


 心配はしてくれてはいるんだね。


「あなたはよく見たら、帝国騎士の者ではないようね」

「いや、それどころか、あなた・・・どこかで・・・・・・特にその・・・・・・蒼い瞳」


 女の人はカチュアの顔をじっーと見つめていると。


「もしかして、あなたの髪の色も蒼だたりしない?」


 そういえば、今、フードを被っているんだ。


「カチュアさん」


 この声はエドナね。


「あれ? どーしたの?」

「遅いから探したんですよ」

「あれ? ロゼッタどうしてここに?」

「ルナ! それはこっちのセリフよ」

「あなたの兄さんから呼び出されたのよ」

「それより、あなたカチュア?」

「そうだけど・・・・・・あなたは?」

「ロゼッタという名に聞き覚えはある?」

「・・・・・・ああ!!! 思い出した! ロゼちゃんだよね? 七年ぶりね」


 この二人知り合いだったんだ。


「やっとね、なら」


 ロゼッタはカチュアにビンタをかます。


「ちょっと! ロゼちゃんどーしたの?」


 いきなり、叩かれてビックリはするよね。

 てか、カチュアが不意を打たれたのは始めでは。基本、カチュアが敵からの攻撃で怪我を負わされたことなんて、一度も見ていない。

 あれ? カチュアだったら、未来が見えるかってくらい、相手の行動がわかるから最初のビンタで防げると思ったんだけど。もしかして、カチュアが感じられていたのは殺意だけなのか? いや、これはこれで、もの凄い殺意を感じられる。


「どうしたのではありません! あなた、七年間、今までどこに行ってたのよ」

「どこって・・・」

「ロゼッタはカチュアさんと知り合いなの?」

「幼馴染」


 喋りながら、ビンタをしているよ。この人。

 会話からして、長い間、会えなかったからだと思うんだけど、この光景を見ても、なんか、怒りの矛先はそれではない気がする。

 だった、さっきから、彼女がビンタしている先はカチュアのほっぺではなく、カチュアのあの豊満な胸だから。

 彼女はカチュアとほぼ同じ背丈だけど、胸に関しては「無」に等しい。

 そう、彼女が怒っていることはたぶんカチュアの豊満な胸だろう。

 幼馴染がいつの間か、こんなにデカくなれば、怒りは湧いてくると思う。彼女のはきっと、それだ。

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