第ニ章 英雄の力 パート5エドナサイド

 アヴァルの街から代々二時間くらい歩いたかな。


「もうすぐでロプ村に着きますよ」


 ようやく、目的地に着きそうね。

 しかし、カチュアさんは突然足が止まり、何か嗅ぐ様な仕草をしていた。


「どうしたんですか?」


 ルナちゃんは不思議そうに尋ねる。

 どうしてだろう・・・・・・なんか、嫌な予感かするような気がする。


「ロプ村ってあの先ですか〜?」

「そうですよ。本当にどうしたんですか?」


 カチュアさんの指を指す方向にルナちゃんが答える。


「なんだか・・・・・・焦げた匂いがするのよ〜」

「え?」


ルナちゃんは鼻を「くんくん」と嗅いでいるが。


「何も匂わないけど・・・・・・」


これってまさか!!


「急いでロプ村にいった方がいいですか? カチュアさん!!」

「そうね〜」

「何がどうしたんですか!?」


  あたしにも分からない。けど、今わかっていることは・・・・・・。


「ロプ村に急がないと!!!」

「よーし、行くよ〜」


 あたしとカチュアさんはロプ村のある方向に走りだす。


「ま! 待って、くださーい」




「ここね・・・・・・うっ!!!」


 ようやく、ロプ村に着いた。

 嫌な予感は当たっていた。その光景は……。


「これは……」


 送れてカチュアさん、その次にルナちゃんが到着した。

 ライム村ほどの惨劇ではないが家の何軒かは燃えていた。


 目の前には鎧を付けた人、付けていない人、そして怪我人が何人かはいた。


「大丈夫ですか?」


 あたしは怪我人に駆けつけて、怪我をしてる左足に【治癒術】をかける。


「あれ!? 痛みがなくなった! ありがとう! お嬢ちゃん!」

「エドナさんは【治癒術】が使えるんですね」


 一人の鎧を付けた人・・・・・・兵士っていうのかな? その人があたしたちに近づいてきた


「なんだね君たちは?」


 兵士はルナちゃんの顔を見ると。


「もしかしてルナ様?」


 ルナちゃんの知り合いみたいね。


「あれ? お兄様の部隊? なんでここに?」

「はい、研究所のあるタウロの街に向かう途中にロプ村が襲われていたので」

「そうですか?」

「ルナ様……どうして」

「ロプ村まで薬を届ける依頼を受けていたんです」

「そうですか、では私どもが届け置きます、今この村は危険なんです」

「そう! お願い」


 ルナちゃんは持っていた薬を渡した。


「ところで何かありましたが?」

「この村にあの手配中のガイザックが現れたのです」

「何ですって!!」


 凄い驚いているけど・・・・・・「ガイザック」って、人の名前だよね? 誰だろう?


「待ってください、この部隊にはお兄様の部隊ですがお兄様は」

「一人でガイザックを引き付けています」

「なんですって!今すぐ・・・」


 ルナちゃんは走りだそうとするがすぐに足が止まり。


「いいえ」


 大きく深呼吸をすると。


「エドナさんはもう少し手伝ってくれますか?皆の治癒をお願いしていいですか?」

「え? あっ! はい! いいですよ」

「あなたたちはこの村を死守と同時にこの子のサポートを」

「あっ! はい!」


 凄い、ルナちゃんが兵士さんに指示を出してる。


「カチュアさんはルナと一緒に兄様の捜索をお願いしていいですか?」

「わかったわ〜」

「ルナ様! いけません! 危険です」


 あっ!さっきの兵士さんだ。ルナちゃんが捜索にでるのを止めているのね。

 そういえば・・・・・・。


「ねぇ、その・・・・・・ガイザックって、人の名前だよね?」

「今、手配中の【勇能力】を持つ男です」

「はい、英雄の力を人々のためにではなく悪事に使わせているのです」


 なんだが、兵士さんには怒りが強く感じる。


「奴は男を殺して、女は殺さないけど、ルナには分からないけど、精神が崩壊するまで玩具にするそうです」


 「玩具」って意味はわからないけど、危ない人認識でいいのかな?

 その意味を考えているとカチュアさんは。


「エドナちゃん。なんかね、子供が遊ぶような玩具って意味ではなさそうよ。わたしも意味はわからないわ〜。でも、その男はクズ? なのは確かで、そう思っていなさいだって」

「そうなんだ・・・・・・」


 ナギさんに教えてもらったのかな?


「今は兄様よ! どこにいるのか・・・・・・」


 ルナちゃんが悩んでいる。そんな中、カチュアさんは大きな山のある方に眺めているところを見ていた。


「カチュアさんならわかるんじゃないかな?」

「どういうこと?」


 カチュアさん、嗅覚は優れていたけど聴覚も凄いのよね。もしかしたら、何処にいるのか分かるかもしれない。


「それなら・・・」


 カチュアさんが眺めていた方に指を刺して。


「あの先に何かがぶつかる音がする。多分、鉄同士ね」

「そんなことわかるんですか」

「それじゃいってくるね。ルナちゃん」

「はい」

「いや、だからルナ様なりませんって、奴は【勇能力】の持ち主相手では」


 この兵士さん。なんに必死なんだろう?


「ねぇ、こんな時だけど聞いていい?」

「【勇能力】のことですか?」


 何でわかったのかな?


「英雄の力と言われているのが一般的です。どうゆうのかと言うと・・・・・・まぁ、個人差はありますが共通していることは、まずは【無詠唱】。これは【魔術】は【魔導具】なしで【魔術】が使えます。それも複数も。さらに【魔術】は詠唱が必要ですが、【勇能力】は詠唱なしで【魔術】が使えます」

「え?なになに・・・・・・詠唱が必要だったの?」

「基本は頭で念じればいいのです。口での詠唱は可能だったのですが、途中で舌を噛んで、変な【魔術】を発動してしまったことがあったのです」


 そう言えば、あたしも昔よくあったよ。【詠唱】を言い間違えて家の中で竜巻を起こしたことがあったよ。


「後は自身の身体を強化する【身体強化】。自分の周りに見えない鎧を纏う【障壁】。後は【覚醒】と言われるものがあります」

「まるで・・・・・・反則、ズル」

「ルナたちに言わせればそうです。さぁ、話が長くなっちゃった。行きます」

「待ってください! 危険です」

「こうしている間にもルナちゃんのお兄さんが危険なのよ、助けないと」


 ルナちゃんが走りだそうとするが。


「ちょっと、待っていて」

「ふむ、ふむ、わかったわ〜」

「カチュアさん? どうしたんですか?」

「ガイザックって人とやり合うなら【勇能力】の一つの特性の【障壁】について、色々と聞いた方がいいじゃないかな〜って」

「どうして?」

「あっ! そっか! それは大事なことでした! これから戦うというのに対象方法を知らないで戦うのは命取りです」

「どういうことですか?」

「【障壁】って体を守る見えない鎧見たいなもので守られています。だからと言って無敵ではありません。【障壁力】といって、【障壁】を貼るためのエネルギーでそれがなくなると【障壁】が貼れなくなります。【障壁力】は攻撃をしていくとなくなっていきます」

「つまり、攻撃を与えると【障壁力】が消耗して【障壁】が貼れないってこと?」

「はいそうです。だから【障壁】を貼れる間は刃が通らないものと思ってください」

「わかったわ〜」

「話が長くなってしまいました。では、行きましょう」

「うん」

「あの・・・・・・だから・・・・・・ルナさまー」


 必死な兵士さんはルナちゃんに何度か呼び掛けていると、カチュアさんが兵士さんに。


「いざっとなれば守りますから、安心してね〜」

「あっ! はい、では私は【治癒術】を使えるこの方の護衛を!!」


 話が着いたみたい。よかった。


「お二人さん気をつけて」


 カチュアさんとルナちゃんはルナちゃんのお兄さんが居るかもしれない方に向かって行った。

 あたしも皆さんの治癒頑張らないと。


「あれ? ルナさまー。いけない、大きな胸の美人に見惚れていたら・・・・・・ルナさまー戻ってきてくださ-い」

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