第ニ章 英雄の力 パート3エドナサイド

 仕事を決まったことだし、早速酒場から勢いよく、出たあたし。それから遅れてカチュアさんとルナちゃんが酒場から出てきた。


「さて、行きましょうか」

「一応、聞きますが……ロプ村がどこかわかりますか?」


 あれ? そういえば……。あたしはつい此間までは村から離れたことはなかった。この街にまで着くまでかなり迷ってたし……。


「カチュアさん知っています?」

「う~ん……」

「そんなことだと思いました」


 なぜだか、不機嫌そうにルナちゃんは大きく息を吐いていた。


「ルナが場所わかりますから案内しますよ」

「ありがと~」

「その前に……カチュアさん」


 ルナちゃんはカチュアさんの身体を上から下まで見ると。


「あなた素手で戦うつもりですか? 見た感じ【魔道具】は装備していないようですし」

「カチュアさんなら素手でも戦えますよ」

「素手って……カチュアさんは【勇能力】でも持っているんですか?」


 【勇能力】って確かよく英雄記に載っている……英雄の持つ力だよね? あたしは詳しく知らないけどカチュアさんがそれなのかな?


「【勇能力】って?」


 どうやら、カチュアさんもわからないみたい。


「うん、知らないとことは持っていないのね。まあいいや、これは……想像以上に手が掛かるわ」


 また、ルナちゃんは不機嫌そうな顔をして大きく息を吐いた。




 しばらく、ルナの案内で街を歩いているとお店みたいな場所に連れてこられた。大きな看板には剣みたいな模様があった。


「ここは?」

「武器屋です。あなた方、特にカチュアさんはちょっと装備を整えた方がいいですよ」


 ルナが店のドアを開けると。


「いらっしゃい」


 店の中に入ると店番というと思うけどその人の顔を見て驚いた見覚えのある顔だった。


「ハルトさん?」

「嬢ちゃんじゃないか! どうしてここに?」

「ハルトさんはこの街にいらっしゃったのですね」

「そういえば、言っていなかった」


 ハルトさんのことだから街の名前を忘れていたんですね、きっと。


「そちらの小さな嬢ちゃんと美人の姉ちゃんは?」

「こっちはルナちゃんで、こっちはカチュアさん」

「で、なんで嬢ちゃんがここに?」

「実は」


 ハルトさんにあの村の惨劇のことを話した。


「そんなことがつらかったな」

「大丈夫なんか? こんな時に」

「あたしは大丈夫です」

「そっか、無理はするなよ」

「で、武器だよな、蒼の嬢ちゃんはどんな武器を扱うんだ」


 ハルトさんたら、早速、カチュアさんの名前を忘れているよ。


「剣です」

「剣となるとこのショートソードか?」

「カチュアさんは刃こぼれしにくい剣の方がいいかな? そこの大きな剣とか」


 カチュアさんの指先には大きな剣があった。でも見る限りカチュアさんの身長を軽く超えている。


「ええと……これはさすがに手慣れた剣士でも持つだけでさえ、難しいぞ」


 ハルトさんの反応の方が正しいのかな? でも、カチュアさんなら。

 カチュアさんは大剣を持つと。


「え?」


 カチュアさんは片手で大剣を軽々と持った。


「うそだろ……」

「片手で」


 二人はとても驚いていった。


「蒼の嬢ちゃんはもしかして【勇能力】の持ち主か?」

「【勇能力】? そうなんですか? エドナちゃん?」

「うーん、わからないハルトさん【勇能力】ってなんではすか?」

「エドナさんもわからないですか?」

「小さな嬢ちゃんは【勇能力】とは無縁だったから触れることはなかったんだ。英雄と呼ばれるような者が持つ特殊能力だ」

「【魔術】とは違うの?」

「まあな」

「そんなことよりも行かないと~。これいくらですか~?」

「いいや、小さな嬢ちゃんの知り合いだからな。初回だけだかサービスだ。貰っておいてくれ」

「いいんですか? ありがとー、ハルトさん」

「よかったですね」


 あたしたち、昨日の宿代でお金切らしていたからハルトさんには感謝。


「じゃあ、行こう~」

「はい」

「ちょっと待って」


 店からでようとするあたしとカチュアさんを止め。ルナちゃんはハルトの方に向いて。


「ハルトさんでしたっけ? あなたどこかで会ったことある気がするのよ」

「俺はショートの嬢ちゃんには会ったことないが」


 ショートってルナちゃんの名前も忘れているのね。しかも、ショートってルナちゃんの髪が短いからかな?


「ハルトさんは忘れているだけでしょ」

「失礼な! 忘れっぽいのは名前だけだ! 顔は見たら覚えられるぜ」

「名前を忘れるのも失礼だと思うんですか……まあいいや、失礼します」

「気をつけな」


 お店から出る。




「じゃあ、行きましょ」

「その前にちょっといいかしら~」


 今度はカチュアさんがあたしたちを止めた。


「ルナちゃんに聞きたいことがあるの~」

「何ですか?」

「わたしたちはもしかして……試されている?」


 カチュアさんは笑顔のままだったけど何でだろう、急に空気が……変わった。


「どういうことですか?」


 あたしもカチュアさんが何が言いたいのかわからない。


「嘘をついている感じはしないのよ、でも、うまく言えないけど何か隠している感じがするの」


 ルナちゃんが隠し事? どういうことだろう?


「……まあ、いいかな。ルナちゃんは悪い人ではないから~」

 

 立ち止まったルナちゃんをほって置いてカチュアさん先に進んでいった。買ったばかりの剣がカチュアさんの身長を超しているためか、背中に背負った鞘に納めた大剣の先っぽが地面に付いて引きづっている。


「あの人はいったい……」

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