第一章 蒼髪の少女 パート6エドナサイド

「どうして・・・・・・!?」


 村から出るまでの光景じゃない。村が・・・・・・家・・・・・・壊されている。


「みんなは!?」

「あ! エドナちゃん、待って~」


 後々、思い返せばあたしはどうかしていた。

 カチュアさんの声が耳には入いらず、あたしは走り出した。ただ、村の皆が無事なのかが心配だった。

 しかし、倒れている村人の生死を確認するも、殆どが手遅れ。あたしには【治癒】が使える。しかし、傷は治すことはできても蘇生はできない。息が無ければ使えない。

 村長さんの家の前を通ると。


「ドアさん!」


 家の前にはドアさんが倒れていた。生死を確認するも・・・・・・。

 ・・・・・・息はしていなかった。


「・・・・・・エドナか」


 声が聞こえる。この声は・・・・・・村長さんだ。


「村長さん!」


 壊れた家に村長さんが下敷きに。


「お主は・・・・・・無事のようじゃな・・・・・・」

「待てください! 今、手当てを!」

「無駄じゃ、意識を保つだけでも精一杯だ」

「そんなことを言わないでください! 大丈夫です!あたしが治します!」

「エドナ・・・・・・気を付けるんじゃ・・・・・・この村を襲ったのはヴァルダンの連中だ・・・・・・奴らが戻ってくる前に・・・・・・」

「村長さんも一緒に逃げましょ! だから・・・・・・」

「其方だけでも無事でよかった・・・・・・エドナよ・・・・・・幸せに生きてくれ・・・・・・」


  村長は動かなくなった。脈を確かめたがもう・・・・・・。


「村長さん!? いっ、いやーーーーー!!!」

 

 村長さんが息を引き取った。あたしはもう精神がおかしくなっていた。とにかく泣き叫んぶ。


「エドナちゃん!」

「カチュアさん!」


 そんな錯乱状態のあたしをカチュアさんが抱いてくれた。


「あなたは絶対守るは・・・・・・だから・・・・・・死んでいった村の人たちの分まであなたは生きて」

「カチュアさん・・・・・・うわわわわわわわわわ!!!」


 そのまま、カチュアさんの胸元で泣き叫ぶ。


「落ち着いた?」

「・・・・・・うん」

「あのね~、わたしね、村全体を回って見たけど・・・・・・その・・・・・・」


 あたしは悟った。この後にカチュアさんの言いたいことはわかっていた・・・・・・。


「生存者は・・・・・・いないのですね。気を使わなくっていいのです」

「エドナちゃん・・・・・・ごめんなさい」

「謝らないでください! カチュアさんが悪いわけじゃないんですから」


 目から零れ落ちた涙を拭く。


「こんな時に申し訳ないけど~、この村目掛けてなんだかは分からないけど向かってくる。音からして足音・・・・・・たぶんこの音からして人よ〜。もしかしたら~、わたしたちが村に向かってことを悟られたかもしれないわ〜」


 あたしには聞こえないけど、カチュアさんには聞こえるのね。


「もしかして、村を襲った人たち?村長はヴァルダン王国だといっていたけど」

「ヴァルダン? それって……どこ~? 王国の名前~?」

「ヴァルダンはこのコルネリア帝国の隣にある国です。それぐらいしか知らないの」

「エドナちゃん・・・・・・こんなことがあってでは平常にはいられないと思うけど~、奴らをどうにかしないと、厄介なのは・・・・・・この村を囲むように向かってくるのよ。逃げるのは難しいわ~」

「戦わないといけないかな?」

「少なくとも、生き残りたいなら」


 カチュアさんの言う通りよ。


「・・・・・・うん」


「取り敢えず~、武器は・・・・・・なんかないかな〜?さすがに素手じゃ・・・・・・」

「知り合いの武器商人がよく狩り用の武器を売りに来るんです確か・・・マスティスさんの家で管理しています」

「案内して~」

「うん、こっち!」


 あたしはカチュアさんを連れてマスティスさんの家まで案内した。




 やはり、マスティスさんの家も壊されている。近くにはシーツが。シーツには何かを被せているみたいだけどそれは何なのかはわかっていた。

 今は村を襲ったヴァルダンを退けないと。

 カチュアさんは家の瓦礫から武器を探すも。


「うーん、わたしが使える剣はなさそう~」

「カチュアは剣でしたよね? この剣じゃだめですか?」


 大体、七十センチ位の剣を手に取り、カチュアさんに見せる。


「大きめの剣じゃないと~」

「元々は狩りのための武器しかないのです」

「しかたかないわ~。何本かの剣で補うしかないわ〜」


 カチュアさんは十本くらいの剣が収められている鞘をベルトで一つに纏めた。


「そうだ、確かハルトさんがいい弓を置いてくれていたはず」


 探していると木箱が見つかる、張り紙が貼っていて、そこには『ちっこい嬢ちゃんに渡してくる』と書かれていた。


「……これね」


 開けると、あたしが使っていた弓よりも立派な弓が開いていた


「これは……凄い!」


 急にカチュアさんは『ふっ』と顔を見上げる。


「もう、近いよ〜!」


 そう言うとカチュアさんは村入り口まで走り出す


「村長さん、皆さん・・・・・・あたしに力を・・・・・・」


 あたしもカチュアさんに続いて走り出す。

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