第一章 蒼髪の少女 パート5ナギサイド

 なんとか、大物を捕らえられていたが、引き続き狩りを行うが。さっきから猪を見つけては逃げられる。

 カチュアは聴力が物凄くいいらしくかなり離れているところから音をする方に向かうと猪がいる。私は全く聞こえない。

 というかなんでカチュアの中にいるのにカチュアが聞こえている音が私には聞こえないの? 不思議なんですけど。そもそもカチュアの中にいるという考え方が間違っているの? ……まあいいわ。

 けど、見つけるところまではいいんだけど二人は猪に見つからないよう茂みなどに隠れているがすぐに逃げられてしまう。

 まあ、当然だけど……。この二人は全然気づいていない。


「また、猪発見しました」

「今度こそ、エドナちゃんの弓の腕前見てみたいな~」

「よーし、いくよー」


 エドナが弓を引く。しかし……。


「あれ? また逃げちゃったなんで?」


 うん、当然だけど。

 もう、十回も逃げられているよ。……と言うか。いいかげん気づきましょうよ、お二人さん。普通気づきますよ。


「さっきから猪逃げていくね〜」

「どうしてだろ?」


 そろそろ口だした方がいいのかな。でもな……こう言う時は指摘した方がいいのか? うーん、聞いてきたらでいいかな。


「そうだ。ねぇ、ナギ、わたしたち、さっきから猪に逃げられる見たいだけどどうしてだかわかる?」


 やっと、聞いてきてくれた……。出来れば自力? で気づいてほしかったが。


『自分よりも大きい熊がいれば誰だって逃げるわ。死骸だけど』

「…………」


 沈黙しちゃったよ。

 それから五分ぐらい、沈黙が続き……。


「あっそか〜熊ね〜」


 納得するの遅えよ。

 まったく、二人とも隠れているつもりだと思っているつもりていたが、猪が二人の姿が見えなくても、カチュアが背負っている熊が丸出し。猪が逃げ出すのも当然だよね……。狩り目的ではなかったら猪避けにはなって襲われないと思うが……。


「どうされたの?」

「この熊のせいで逃げたみたい」

「…………」


 あんたも沈黙か。

 しばらく沈黙が続き……。


「……あっ! そうか! 熊ね!」


 だから、なんで二人揃って納得するのに五分もかかるの?


「どうするのですか?置いきます?」

「うーん……!あっちに音がしなかった?たぶん、木と何かがぶつかる音」


 カチュアの指を指す方を見ても何もない。


「ん? 聞こえなかったけど……あっちですか?」


 エドナはカチュアの指を指す方を見ると。


「あっ! 猪発見しましたー」


  あ、凄い、見えるんだ。私は全く見えない。


「じゃあ、行きましょうか!」

「お〜」

『ちょっと、待ったー』

「ん? エドナちゃんちょっと待っていて」

「え? うん」

「どうしたのナギさん?」

『その熊何とかしないとまた逃げられるよ』

「……あ! そっか」


 さっきよりも沈黙する時間は短い、短いけど……。


「エドナちゃん、この熊を背負ってたら、また逃げられるよ」

「……あ! そっか!」


 学習しましょ。と言うか、二人はよく生きていられたよね。


「でも、どうしよう」

「ここから、届く?」

「もちろん、でも……ここから射っても仕留められないじゃないかな〜」

「そっか、結構遠しいし……」


 二人が考えている最中だが、私はエドナの右腕の宝石見たいのが二つ付いている腕輪が目に入った。


『エドナという子の腕に何か不思議のものがあるね』

「多分、【魔道具】ね~」

『多分って……何?』

「私……使わないから……それに【魔道具】って色んな形があるから〜わたしが知っていることは魔道具があると【魔術】が使えるのとあの石見たいのが【魔石】というらしいのよ〜」


 【魔術】ってそんなファンタジー世界ではあるまいし。てか、自分でいうのもなんだけどファンタジーって何?


『あなたからは聞けそうもないね』

「そうね~わたしじゃ……説明できそうもないから~」


 そろそろ怒ってもいいと思うけど。傍から見ると馬鹿にしているものだし。


『まあいい、エドナに聞いてみて。私もその【魔道具】に興味あるから』

「わかった~」


 にして……やっぱりカチュア以外には直接話せないなんて不便ね……。


「それ……【魔道具】? 【魔石】が二つあるけど~」

「一つは風系の【魔石】で……もう一つは【聖石】よ」

「【魔術】を使えるの~?」

「うん、使えるよ……あ! そうか、でもな……」

「どうしたの~?」

「これを使えばいいのか……あんまりやりたくないけど」


 なんか……問題でもあるのかしら……。使っているところを見てみたいけど。


「使うて、【魔道具】を~?」

「うん、見ていて」


 エドナは何かを念じるように立ち右手を上げる。すると、エドナの右手に螺旋状に風が纏っていく。そして、それが矢の形となった。その矢を引き、放つ。

 矢は一直線に進み、視界には入らなくなった。矢が通ったところには風が襲い掛かる。


「ふう、こんなものよ」

『すごい……』

「……」

『カチュア?』

「ん!? どうしたの?」

『それあたしが聞きたいよ、どうしたの、ボーとして』

「なんでもない~」


 変なカチュアだな……。のほほんとした雰囲気のカチュアだけど……何だろ?何か気になる……。


「捕らえましたよ、じゃ行きましょう」


 私には見えなかったが狩り取った猪のところへ向かう、

 ようやく、着いた。カチュアの聴力もすごいけど……なんか……エドナの視力も異常だった。だって、五百メートルぐらい先の猪が見えているから、しかも、命中しているし。これは私の想像以上に弓の腕はいいみたい。


「すごいね、エドナちゃん」

「うん、でも……」

「ん?」


 猪の死骸をよく見ると体に穴があった。

 これって……まさか……。


「これ使うと、貫通して肉が削られちゃうの」


  て、あんたもかー。最近の狩りは体に穴を開けるのがやり方なの? ……そっか、だからあの弓技で仕留めるのは気乗りしなかったのね。


「でも、まあ、いいのかな……これだけあれば」

「じゃあ、エドナちゃんの村に行こうか~?」

「これはわたしが運ぶね〜」


 カチュアは右側に熊を左側に猪を抱えた。


「凄い……」

「じゃあ、行こうか~」


 あの細腕のどこにこんな力があるんだか……。もしかして、エドナが持っていた【魔道具】のような類いなのか……でも、見当たらない、それらしきものが。まさか、このデカチチの谷間に……さすがにないか。




 しばらく歩いているとカチュアがエドナに。


「そうだ〜エドナちゃんもわたしと一緒に旅にでない?」

「どうしたんですか?」

「エドナちゃんと旅をしてみたいなと思って。わたし、今まで一人だから」


 一応、私がいますよ。精神体だけど。


「あたしもずっと、旅をしてみたいのです。でも……」

「なんか、事情でもあるの~?」

「はい……」

「……深くは聞かないでおくね~?」


 さっきまでののほほんとした雰囲気から一変。カチュアの歩く足が止まった。


「……」

「どうしたんですか?」

「エドナちゃんの村はこの方向だよね~」

「そうです」

「人の声、それも叫び声が聞こえの……それも複数」

「え? あたしは聞こえないけど」


 私も聞こえないが聴力のいいカチュアが言うのなら確かね。それに叫び声はただことではない。


「急いだ方がいいわ~」

「え?」


 カチュアは猪と熊を後ろに投げ捨て、走り出す。


「あ! 待ってくださーい!」


 エドナも走り出す。

 まだ付き合いは短いがのんびり屋のカチュアがあの険しい目つきをするなんて、これからきっと大変なことに巻き込まれるかもしれない。捨てた熊と猪が勢いよく捨てられたため、もう何本かの木が倒れているが気にしないでおこう。今はエドナの住む村に急いだほうがいい。

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