第3話 入れ違い

防具の街ヤルスを出立したサブは走りながらどんどん、どんどんと進んでいく。見上げた山にそびえ立つは魔王城。薄暗い時間帯に見える魔王城はどこまでも不気味に見えた。夕日に照らされて映る魔王城は血に染まった色のように思えた。今晩は近場にかまど場を作り飯を取ることにしたので、近場の更地に野営地を作り明日の朝早くに、魔王城へ向かう事へ決めた。


朝早く目が覚め見上げてみると白い霧がかかり天空の雲の上にそびえ立つ様なそんな城に見える魔王城を見ているとぶるっと体に震えが走った。これが武者震いという奴なのだろうか

体をゆっくりとほぐし、朝の準備運動を終えるとまっすぐに魔王城に向かって行った


太陽が中天を迎える頃にはサブは魔王城の門へたどり着いていた。バーンという音と共に中にどんどん進んでいくサブ。すると謁見の間と言ったような、ある広いスペースに出た。そこは王座からレッドカーペットのようなものが敷かれているだけの闘技場のようにただ広い場所だった


横の扉から4人の魔族が現れた。

「勇者が来ると思ったらただの冒険者か」

「何者だ貴様は」

「わしは魔王様を守る四天王が一人ダイダロス…」

「遅いわ」

相手が喋り終わる前に切り捨ててしまったサブ

「ちょっと前口上くらいさせなさいよ」

「ふん。生憎とそんな暇はない一刻も早く勇者を止めなければならない」

「ふーん。なら帰りな。勇者は来てないよ」

「騙されんわ」

無防備に杖を片手に扉を指していた女幹部らしい人物を切り捨てた


「おい貴様不意打ちばかりで卑怯ではないか」

「言ったはずだ勇者を止めないといけないのだ」

「だから来ていないと言っているだろう」

「なら、尚更好都合というもの、勇者に変わり全員成敗してくれるわ」


さすがは S ランク冒険者、四天王相手でも遅れをとることはない。次第に相手を追い詰めついには四天王を全て倒したのであった。


最後に残ったのは大きな王冠をかぶった少し小柄な女性だった。だが王冠をかぶっているということは魔王という証なのだろう。

「ではいくぞ。大魔王よ」

「ちょっと待った。私は魔王の身代わりの身よ」

「どういうことだ」

「本当の魔王は魔法使いとして勇者一行と共にこちらに向かって来てるはずよ」

「ではお前は何なんだ」

「私は魔王の役を演じ勇者の隙を作り出す役目よ。そして油断した勇者を後ろから魔法使いが転移魔法で元の世界に送り返してしまうのよ」

「では今までの勇者は元の世界に帰ったということか」

驚愕するサブに少し自慢げに偽の魔王はしゃべった

「その通りよ。何故そなたたちの国が、我が魔国イオンを攻めるのかはわからん」


「それは本当のことなのか」

「本当だ間違いはない」

では何のために勇者は魔王を攻めるのか 。なぜ我国の王は勇者を召喚して魔王を責めるのか。なぜ魔王は勇者をお繰り返しているのか。


魔王にも問いたださなければいけないことだった

真実を知ったサブこれから何をすればいいのか道に迷ったヤギのようだった

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