2-5 少年の修行と少女の戦い

 この街の名物は、一言で言えば出店だ。正確に言えば出店に並べられる、様々な職人たちの様々な品物だ。

 ではなぜそうなったのかと言えば、事のきっかけはおよそ10年ほど前まで遡る。

 この街には当時から多種多様な職人たちが多く住んでいたのだが、物作りに携わる人間が多い。それはすなわち制作物や原料の流通のために多くの人が行き交うということでもあった。

 そしてそこに目を付けたのが当時の町長だ。彼はあるとき、とある職人が通行人に技術を宣伝するため違法で出店を開いている現場を目撃して……むしろ閃いた。出店を開くための敷居を、その当時よりも大幅に低くすることを。

 そしてそれは、ものの見事に職人たちの競争心に火を付けた。ゆえに出店文化はあっという間に広がって、やがては現在の『多くの職人たちが己の技術を見せつけるために出店を開く』という名物の礎となったのだった。

 そんなわけで今、この街はどこへ行っても出店が開かれている。大通りで、街角で、あるいは怪しげな路地裏で。

 ゆえにこの街は、職人製の名品珍品で溢れている。街のどこを切り取っても、よその人にとっては珍しい光景になるだろう……それこそ田舎から来たおのぼりさんなんかは、きっと目移りが止まらないはずなのだ。


(見たことない食べ物。綺麗なアクセサリ。珍妙な琥珀機械……あ、武器まで売っているのか!)


 そんなわけでおのぼりさんど真ん中ことニルヴェア・レプリ・ブレイゼルは、初めてだらけの街にあちこち視線を泳がせている真っ最中……なのだが、


「お。なんだあれ人形劇か? ニア、ちょっと見ていかね?」


 隣の少年から話しかけられた、その途端にツンとすまして。


「いまさら人形劇なんて。子供じゃあるまいし」


 なんて言いつつ、ちらちらと。


(職人街ってだけあって人形もよくできている……うわっ、竜の口から炎まで出てる。本物? って違う違う! 興味ないったら興味ない!)


 ニルヴェアは内心で葛藤しつつ、表ではあくまでも興味なさげな態度を貫く。そんな彼女に対してその隣を歩く少年、レイズは困ったような笑みを浮かべていた。


「つれないな。15なんでまだ子供だろ?」

「なんだよ。ガキ扱いされるのは嫌いなんだろ」

「舐められるのが嫌いなんだよ。子供ぶって楽しめるなら儲けものだろ?」


 彼の余裕ある、飄々とした立ち振る舞い。それはニルヴェアの胸にちくりと刺さった。だから考えるよりも先に、苛立ちがつい口に出てしまう。


「お前はすぐそうやって!」

「そうやって?」

「……僕の方が子供だよな。こんなのじゃ」


 思考がようやく追いついて、ニルヴェアは冷静になれた。


(こんな意地の張り方、逆に格好悪いだけだ。分かっているはずなのに)

「はぁ……」


 口から勝手にため息が出た。ニルヴェアが気落ちする姿を見て、レイズがくつくつと笑った。


「すげーきょろきょろしてたもんな。興味津々ならそう言えばいいんだ」

「気づいていたのか!?」

「むしろ気づかない方がおかしい」

「ぐっ……!」

「我慢せず、楽しめるときに楽しめって言ったろ。どうしたんだ?」

「なんでもない! ちょっと昼ご飯買ってくるからそこで待ってろ!」

「は? さっき飯食ったしまだそんな腹減ってな……行っちまった」


 レイズが止める間もなくニルヴェアはどこぞの出店へと向かってしまい、その背はあっという間に人混みへと紛れてしまった。

 その場で1人取り残されたレイズは、ただ頭をがしがしと掻くことしかできなかった。


 ――これも修行だ我が弟子よ。拙者が居ない間、お主がちゃんとエスコートしてやるのだぞ?


「ったく、意外と難しい修行じゃねえか……」



◇■◇



 やがてニルヴェアが買ってきた昼ご飯は、ソーセージと野菜を巻いたクレープであった。彼女は両手に1つずつクレープを持っており、その片方をレイズへとすぐに手渡す。


「ほら、お前の分だ」

「お、おう……」


 レイズはおそるおそる受け取った。するとクレープの下部を包む紙から、出来立てほかほかの温かさがじんわりと伝わってきた。


「なんだその顔。まさかお前の分を買わないとでも思っていたのか?」

「いや、そんなわけじゃ……」

(正直ちょっと思ってたけど)


 レイズのそんな内心を知ってか知らずか、ニルヴェアはすぐ近くにあったベンチに腰を降ろすと、


「さっさと座れ。せっかくの出来立てなんだから、熱いうちに食べないと」


 そう言って先に食べ始めた。

 ニルヴェアは小さい口で、小鳥がついばむようにちょっとずつ齧っていく。口が汚れないよう丁寧に食べていくその仕草は、やはりどことなく上品で……だからこそ、レイズはひとつの疑問を感じていた。

 やがて2人揃ってクレープを食べ終えたあと、レイズはニルヴェアに言う。


「お前、普通に買い食いとかできるのな」

「はぁ?」


 ニルヴェアの表情が訝しげなものになったが、レイズはすぐに自分の意図を語ってみせる。


「いや、なんつうか俺の考える貴族ってやつは買い食いとかしないよなって。こう言っちゃなんだけど、下品とか思わねーの?」

「……上品ではない、とは思うが買い食いこれもこの場においてはひとつの作法だろ?」

「作法ってまた大げさな……ま、でもこういうのは外で買って外で食う方が旨い。そりゃ確かだな」


 レイズのそんな同意に、ニルヴェアは「ふふん」とご機嫌そうに口元を緩めた。彼女は興が乗ったのか、その語りも徐々に饒舌になっていく。


「ここほどじゃないけど、僕の街にだって出店の一つや二つあったからな。初めて屋敷を抜け出して街に降りたとき、一緒に屋敷を抜け出したアイーナにこの作法を教わったんだ」

「っ――」


 レイズが、目を見開いた。

 だがニルヴェアはそれに気づかない様子で、過去の思い出を掘り返していく。


「でもあのときは2人揃ってメイド長にこっぴどく怒られてさぁ。でもでも、一度覚えた悪知恵というのは中々忘れられないんだよな。結局、僕はそれからも度々屋敷を抜け出して森や街へ行くようになって、その度に兵士と追いかけっこしたり抜け道を作っては塞がれたりしていたんだ」


 レイズは口を挟めない。


「兵士に見つかったら当然連れ戻されちゃうんだけど、でもたまーに見て見ぬふりをしてくれるんだ。誰がっていうわけじゃなくて、月に1、2回ぐらいの間隔でさ。今思えば”そういう日”をこっそり決めてくれていたのかな。で、僕も見逃してくれた見返りに、屋台でお土産なんかを買っていって」


 ぽろり、と。

 ニルヴェアの目から涙がこぼれた。


「なっ!」


 レイズはぎょっと驚いたが、


「え?」


 一番驚いていたのは、当の本人だった。

 ニルヴェアは不意にこぼれ落ちた涙。その意味を自覚できていなかったのだ。

 しかし当人に自覚がなかろうとも、その目尻からは堰を切ったように、ぽろぽろと。


「え? あれ、うそ。違うんだ、これは」


 大粒の雫がとめどなく溢れては流れていく。

 ニルヴェアは慌ててポケットからハンカチ(※財布と同じくアカツキが準備してくれていた)を取り出して涙をぬぐった。しかし涙は止まらず、彼女の表情も変わっていく。


「えぐっ、ひぐ。ううぅ……!」


 こぼれていく涙に表情が追いついた。顔を歪め、声を押し殺して泣き続けるニルヴェアに、レイズはあわあわと慌てる。


「わ、わ、わ。泣くなって。いやこういうときは泣いた方がいいのか? と、とにかくどうすりゃいいんだ?」


 こんなとき、果たしてどうすればいいのか? 女の子の涙の止め方なんて、旅は教えてくれなかった。

 しかし、それでもレイズは知っている。旅の醍醐味とは新しいなにかとの出会いであることを。


(いつだって諦めずに勝機を見出すのが、ナガレの流儀!)


 そしてレイズは両手を使って、自らの頬を叩いた。

 パン! と快音が響いた次の瞬間には、もう少年の表情は変わっていた。


「おっしゃあ!」


 一気に立ち上がって、すぐにその場を離れた。そして向かったのは、そこら中にある出店のひとつであった。


 一方、ニルヴェアはレイズがその場を離れたことに気づかなかった。

 だってとめどなく溢れる涙を、ぎゅーっと胸を締め付ける痛みを、そして勝手に浮かんでくる思い出を止めるのに精いっぱいで。


「違う、こんなつもりじゃないのに、なんなんだよ、これ」


 ――我慢せず、楽しめるときに楽しめって言ったろ


(アイーナも、みんなも、屋敷の全部、楽しい思い出なのに。だからちゃんと笑って、辛い思い出になんてしたくないのに)


 ハンカチで両目を何度も拭いながら、ニルヴェアは深く願う。


 ――俺のためだと思って一緒に楽しんでくれよ。な?


(できることくらいはちゃんとしなきゃ。そう決めたんだ。だから泣くな僕。ブレイゼルの一族で、兄上の弟で、あの事件の真実を知るって決めてて。だから負けるな。負けるな。負けるな!)


 そして彼女は、最後にぐっと強く涙をぬぐった。


「……よしっ!」


 全然良くないが、とりあえずもう涙は止まっていた。

 ニルヴェアはふんすっと気合を入れ直してから面を上げて……ようやく気づいた。


「あれ? レイズは……」


 ぴたっ。首筋に、ひやっと冷たい物が。


「うひゃあ!?」


 ニルヴェアは思わず腰を浮かせて、それから慌てて振り返った。すると視線の先にはレイズが立っていた。いかにも冷たそうな瓶を片手に1本持って。


「レ、レイズ! お前な――」

「まずは飲め! 旨いぞたぶん!」


 ニルヴェアが怒る間もなく、レイズは瓶を押しつけるように手渡してきた。


「わっ。な、なんなんだ」


 ニルヴェアはその強引さにびっくりしながらも、ついつい瓶を受け取ってしまった。そのキンキンに冷えた瓶を眺めてみれば、中には透き通ったオレンジ色の液体が入っていた。


(柑橘系のジュース……か?)


 疑問と共に正面へと視線を移すと、レイズがなんかにまにまと笑っていた。


「……露骨に怪しいんだが」

「いきなり泣くやつよりも怪しくないから安心しろって」

「ぐっ、それは……くそっ……!」


 ニルヴェアは観念せざるをえなかった。しぶしぶ、瓶のキャップを捻って開けた。

 そして意を決し、口を付けて、一気に瓶を傾けて――!


「っ……げほっげほっ! す、酸っぱぁ!? おまっ……お前ー!」

「マジかよ、俺の分買わなくてよかったー!」

「おまっ、お前、ほんとそういうとこ、すっぱ!」

「いやー、いいもん見せてもらった。そんで本番はこっからだ!」

「はぁ!? って、うわっ」


 その途端、ニルヴェアの手から瓶がひょいっと奪い取られた。奪い取ったのは他でもないレイズだ。彼はすかさず瓶の中になにやら錠剤らしき物を一粒だけ落として、それから。


「ほら、飲んでみ?」

「絶対に嫌だ」


 当然である。しかしレイズも負けじとぐいぐい押しつけてくる。


「お前なぁ。俺がせっかくあの手この手で気を紛らわそうとしてやってるんだから、なんとなく察して素直に実験台になれよな」


 あんまりにもあんまりな言い草であった。


「うぐっ!」


 しかしあんまりだからこそ、ニルヴェアの心には直球で突き刺さったわけで。


「慰めるんなら、言葉を選べよ馬鹿野郎……!」


 なんて悪態を突きながらも、瓶を受け取らざるをえなかったわけで。


「……まずかったら一生恨む」


 その一言を遺書代わりに、ニルヴェアはおそるおそる瓶に口を付けた。

 それからゆっくりと、瓶を傾け中の液体を口内へ……


「…………」


 ごくり、ごくり。いくらか飲んでから、口を離して。


「おいしい……」


 思わず呟いてから、はっと我に返った。


「えっ、美味しい!? すごい甘くて美味しいぞこれ!」


 ニルヴェアの驚愕に対して、レイズは指を鳴らしてみせた。ぱちんっと景気の良い音が鳴った。


「『ミラクルオレンジ』なんて胡散臭い名前だから半信半疑だったけど、マジだったんだな! どうだ、中々面白いだろ?」

「オレンジってことは、やっぱ柑橘系だったのか。さっきはその手の酸っぱさが、今は甘さがぎゅっと詰まったような味だったが……これも出店で売っていたのか?」

「おう。さっきそこ通りすがった時にちらっと見てさ。『不思議な薬を1粒混ぜるだけで味が変わる魔法のフルーツ』なんて謡い文句が胡散臭すぎて印象に残ってたんだけど、覚えといてよかったな」

「いや不思議な薬ってなんだよ!」

「大丈夫だって。聞いた話だと、薬はとある香草から抽出した無害な成分なんだと。それがそのミラクルオレンジとやらの成分に反応して酸味を甘味に変えてるらしい。正に魔法みたいにってやつだな」


 レイズの解説を受けて、ニルヴェアは瓶の中の液体をしげしげと見つめた。


「味の変わる液体か。世の中には不思議なものがあるんだな……」

「ま、それ言ったらお前の方が不思議だけどな」

「む、どういう意味だ?」

「だってお前、謎の液体で性別変わってんじゃん」

「…………確かに」


 言われてみればそうだった。


「もしかして、あれも魔法……だったりするんだろうか」

「魔法ねぇ。グラドとは別の『魔の大陸』からうっすらと伝わっているおとぎ話……だけどそんなのより、よほど現実的なものがこの大陸にはひとつあるだろ?」

「なんだよそれ?」


 するとレイズは右手をグーにして掲げ、そこから人差し指をピンと立てて、最後に断言した。


「遺産だよ。この大陸でなんでもありの象徴っていえば、もうそれしかねーだろ」


 遺産。

 正確には『旧文明の遺産』。


 ――かつてこの世界において大陸はたったひとつしかなく、その上に築かれた文明は今の人々から見れば途方もない英知と栄華を極めていた。しかしあるとき、かつてない規模の戦争が起こった。それは文字通り大陸を砕き、そして世界と文明を一度破壊しつくしたのだという……。


 と、それ自体は半ばおとぎ話のような伝承である。

 だがしかし、この大陸には実際に、超常的な力を秘めた遺跡や道具……それこそ旧文明のロストテクノロジーとしか思えない代物が数多く眠って、あるいは稼働しているのだ。

 ゆえに旧文明の存在は肯定され、その代物たちは纏めて『旧文明の遺産』と呼ばれている。


 ……という概要だけならニルヴェアも知っていた。一応、知ってはいたのだが。


「遺産なんて僕からすれば魔法と同じようなものだ……だって、実際に見たことないし」

「そうか? 旅すりゃわりとごろごろ見れるぞ。たとえばそうだな……『氷天花ひょうてんか』って知ってるか?」

「ひょうてんか……? どこかで聞いたことはあるような……」

「有名な遺産のひとつだな。旧文明の天候操作装置が暴走した物とかなんとかって話でさ、その周りの地域は雪が1年中降り続けているんだよ」

「あ……それなら確かに聞いたことあるぞ! でも、まさかそこに行ったのか!?」

「おうよ。噂どおりすげー寒いとこなんだけどさ、でも人間って逞しいんだよな。そんなとこでも街はちゃんとあるし、むしろ雪と寒さを利用したそこだけの特産品や文化だってたくさんあるんだ」


 それを聞いた途端、ニルヴェアは大きく目を開いた。蒼い瞳が好奇心できらきら輝く。


「すごい。いいな! ブレイゼルは雪が全然降らないから……なぁ、積もった雪ってふわふわで柔らかいって聞くけどそれって本当なのか? あと涙や鼻水が出たそばから凍るって……」


 と、そこでニルヴェアは気づいた。レイズがどこか安心したような笑みを向けてきていたことに。そのせいかふと、先ほど言われた一言を思い出す。


 ――俺がせっかくあの手この手で気を紛らわそうとしてやってるんだから、なんとなく察して素直に実験台になれよな


 その瞬間、一気にこみ上げてきたのは……熱い羞恥心であった。


「~~~~~~!」


 ボッ! と顔を真っ赤に染めて、それからその場にしゃがみこんでしまい。


(かんっぜんに乗せられた! 勝手に怒って勝手に泣いて、そのくせあいつの励ましひとつでころっと機嫌良くなるなんて、なんだこれ! 我ながらどんだけ情緒不安定なんだ!?)


 ニルヴェアは目をぐるぐると回して後悔しまくったが、それもはたから見ればだいぶ情緒不安定である。

 もちろんレイズもびっくりして、おろおろと慌て始める。


「えっ!? 今度はなんだ、腹でも痛いのか? ミラクルオレンジが当たったか!?」

(駄目過ぎる。今日の僕は本当に駄目過ぎる。分かっている。原因はひとつだ)


 脳裏にちらつくのは、同じ年齢に同じ性別(※体の方はともかく)のくせして、自分よりずっと強くて大人な少年の背中だ。

 ちなみにその少年は現実の方で絶賛大慌て中なのだが、ニルヴェアはもちろん気づいていない。


(僕に似ているのに、僕なんかよりもずっと兄上に近い。あくまでも同じ年齢ってだけならアイーナがいた。だけどその上で男子の知り合いとなるとろくにいなかったし、それに加えて”戦う側の人間”となればなおさらだ。つまり要するに、僕はあいつを意識しまくっているんだ)


 ニルヴェアの脳裏に様々な単語が過ぎっていく。対抗心、焦燥感、嫉妬、羨望、癇癪、やきもち……


「負けて、たまるかー!」


 ニルヴェアは叫んで、立ち上がった。そんでレイズはびっくらこいた。


「わー!? もうほんとなんなのお前!」

「おいレイズ!」

「なに!?」

「今日は全力で楽しむぞ!!」

「はぁ???」


 誰がどう見ても、ニルヴェアのそれは空元気であった。だからむしろ、レイズの方が冷静になった。


「……よく分かんねぇけど、今日のお前ちょっとヤバいぞ。楽しめっつったのは俺だけど、まぁなんつうか無理して楽しむのもなんかちが……」

「無理だろうがなんだろうが楽しめる時に楽しむのが今の作法だろ!」

「だから作法って大げさな……」

「とにかく今日はそういう日で、僕は負けたくないんだ! だから行くぞ! ほらあそこにまた珍しそうな物が売ってる!」


 ニルヴェアは早口でまくし立てて、それから意気揚々と走り出した。ぶんと揺れる金髪と、ぱたぱたはためくエプロンスカート。

 少女の後ろ姿を見て……レイズは「はぁ」と溜息をついた。


「負けたくないって、お前はなにと戦ってんだよ……」


 しかしレイズの表情は、どことなく楽しそうでもあった。


「ったく、変なところで変に強いやつだなぁ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る