第5話 沖縄剣

「やってしまった。県を剣に変えちゃった。」

「伝説の剣ですね。」

「シーサー剣とか、サーターアンダギー剣とかではないので、素晴らしい。」

「やったー! 褒められた!」

「誰も褒めてない。」

 私たちは、テーマを沖縄県に決めて企画を考えることにした。

「とりあえず、企画を沖縄県で考えてみましょう。」

「既に県の字が剣になってますけどね。」

「困った。職業病だわ。」

 現代ドラマを描くより、異世界ファンタジーの方が話が広がるので面白いのは事実。

「あやかし、ご当地、お仕事、謎解き、グルメ。この辺りがキャラ文芸ね。」

「あの・・・・・・現代ドラマの台本では?」

「どっちも似たようなものよ。気にしない。気にしない。」

 私、気にしないので。いいセリフだ。単純で短くて、分かりやすい。

「始めるわよ。」

「おお!」

 やっと沖縄県の話が始まる。

「俺は沖縄県になる!」

「ゲッ!? いったいどうしたの?」

「分かりやすいキャッチフレーズですよ。「そうだ、京都へ行こう。」みたいな。」

「そうね。」

 これがコネ有りや、有名人であれば採用されるのが広告代理店業界。コネなし素人がネット小説投稿サイトで創作しても、奇跡的に誰かが拾ってくれなければ意味はない。価値はない。アイデアを練っても、コネ有りにパクられて、書籍化されても、パクリ作者に情熱はないので売れない。数多の暇な素人は自己満足の世界である。

「沖縄県。日本で一番、西にある地方公共団体。」

「何でも1番って、良いですよね。」

「一番じゃないとダメなんですか!? ほんと日本人って一番が好きですね。」

「二番じゃダメなんですか?」

「ダメです。二番は最下位と同じです。」

 現実的にこれが全てである。優勝以外に価値はない。

「ナンバー1にならなくてもいいじゃないですか? もともと僕らはオンリー1ですよ?」

「きれい事ですね。なら努力しないんですか? 頑張らないんですか? 優勝を目指さないんですか?」

「でも、全ての人が1番になれる訳ではないんですから。じゃあ、1番になれなかった人は死ねというんですか?」

「東大に入れば国家公務員、大企業で年収1千万円。入試に失敗した人間は条件の劣る仕事をするしかない。」

「そうですね。卵は1パックしかないのに、100人で取り合っても、1人しか卵を手に入れることはできない。」

「特売の卵は人気がありますからね。」

 すごく一般人が共感するお話である。

「はあ!? 話が脱線している!? 」

 こうしてライト文芸部も滅んでいったような。

 つづく。

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