第4話 企画案
「佐藤、鈴木、なんか面白い企画ある?」
私は仲間と一緒に企画を作ることになった。
「ありません。先輩は?」
「私もない。」
「困りましたね。じゃあ、逆にダメな企画を省いていきましょうか。」
こうして三人の企画会議が始まった。
「まず予算がかかり過ぎるものはダメ。地方ロケに、CGは厳禁です。」
「他の局で頭が大きなCG女の子のCGチームは真面目にやっていると家に帰れないらしいよ。」
「恐ろしい!?」
「他にネット小説投稿サイトのコンテストでも、CGばかり使う原作はお断りというのもあるわよ。」
「そんなんじゃ、なんもできないよ!?」
これが現在の日本社会の製作予算の限界である。
「安上がりの青春モノなんてどうですか?」
「野球でもサッカーでも、百人一首でも安上がりだから企画が採用されやすいですよ。」
「そうそう。「好きだ!」とか、「もう! 絶対に負けないからな!」とか青春のお約束の定型セリフで話を進めていけばいいだけよね。」
「だから青春モノが廃れないのよね。しかも低予算!」
なかなか企画案が決まらない。
「要するに異世界ファンタジーを書くための資料集めに資料調べができる企画がいいわ。」
「仕事、女子アナ。趣味、異世界。ですね。」
「それか仕事を作家にでもしてしまうか?」
「う~ん。難しい。これが生みの苦しみか!?」
企画会議は煮詰まっていく。
「こう完全に短編コンテスト送りですな。」
「私の華麗なる女子アナ生活に目の下にクマがある物語だったのに!? 無念。」
「前作のハリウッド20万字で燃え尽きていて、全く現代ドラマの企画案を考えていなかったのね。」
気力の回復にもグダグダ系が一番最高だわ。1日1話投稿だと200日分のミサイルが準備できている。ワッハッハー! ・・・・・・笑う元気がない。
「ということで。」
「どういうことですか!?」
「次回は「沖縄剣」を題材に深堀してみよう。何か新しいアイデアが生まれるかもしれない。」
「目野下熊子は、ゲーム制作会社の社員で、ゲーム作成しています、でいいんじゃない?」
「それスムーズだね。」
「あれ? ライト文芸部って、なにで失敗したんだっけ?」
「失敗ではない! 脱線だ! ライト文芸部は、作品制作からの、キャラクターに個性を持たせ過ぎたら、野球だの、戦闘だの、好き勝手歩きだして、作品創作の現実ドラマにならなかった。」
「私たちも個性を出してプライベートなんかを描いていくと、作品創作から外れていくんだろうな。」
私たちは、そんな心配をしています。
つづく。
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