【完結】おとぎ話の悪役令嬢は罪滅ぼしに忙しい二部

第16話 16歳の茨姫

　ターリアは、純粋な娘だった。

　ターリアは、心優しい娘だった。

　ターリアは、いつも愛されていた。

　ターリアは、愛される喜びを知っていた。

　ターリアは、だからこそ人を愛した。

　ターリアは、家臣に優しかった。

　ターリアは、民に優しかった。

　ターリアは、両親に優しかった。

　ターリアは、時に甘えん坊だった。

　ターリアは、カリスの前なら子供でいられた。

　ターリアは、いつもカリスに甘えていた。

　ターリアは、カリスを姉のように思っていた。

　ターリアは、カリスが大好きだった。

　ターリアは、まさか呪われているなんて思ってもいなかった。

　ターリアは、好奇心旺盛な娘だった。

　ターリアは、初めて糸車を見た。

　ターリアは、糸車に魅了された。

　ターリアは、糸車に触れてみた。

　ターリアは、呪われた。

　ターリアは、眠りについた。

　ターリアは、目覚めてから両親に全てを聞いた。

　ターリアは、酷く混乱し、パニックになった。

　ターリアは、家臣達の殺し合いを見つけてしまった。

　ターリアは、この責任を全て背負うことを決意した。

　ターリアは、立ち上がった。

　ターリアは、わずか16歳で王や王妃よりも頼もしい姿を見せた。

　ターリアは、魔法使いを待った。

　魔法使いは現れた。

　ターリアは、魔法使いに従った。

　ターリアは、それが皆を助けることになるものだと信じた。

　ターリアは、道徳に外れていくことはわかっていた。

　ターリアは、それでも戦った。

　ターリアは、それでも抗った。

　ターリアは、全ての責任を背負っている。

　ターリアは、女王そのものだ。

　ターリアは、皆を守らなければいけない。

　ターリアは、城を守らなければいけない。

　ターリアは、魔法使いに従う。

　ターリアは、魔法使いが敵だと言うならば、迎え撃つまで。

　ターリアは、クレアを待った。

　ターリアは、クレアと会った。

　ターリアは、全てを背負っているから、

　ターリアは、全てを守るために、

　ターリアは、王だから、

　ターリアは、頂点に君臨する存在だから、

　ターリアは、飴を舐めた。

　家臣達と、両親を守るために、敵を迎え撃つ。

　ターリアの長い戦いが始まった。

　わずか16歳の姫の、過酷な運命が幕を開けた。