第42話 晦日そば、のちタルト

晦日そばのだしとゆでそばを温め、同じく温めた丼に盛り付ける。

具材位はかまぼこ、椎茸などシンプルに。


薬味に三つ葉の湯がいたもの(そばにセットで入っていたもの)を添えて。


湯がきたてのそばにはもちろんかなわないが、外の寒さからか旨く感じる、

キツネ亭の晦日そば。


「ごちそうさまでしたーっ! 」


『キツネ、いっつもウチの分まで小さいのによそってくれてありがとうな』


「かめへんよ、このあとタルトもあるし」


「キツネさん、すみません、なんか幸せで動けません、諸々よろしくおねがいします」


「かめへんよ、小町もゆっくりしとき」


「お言葉に甘えますー」


キツネは晦日そばの丼を片付け、タルトを用意する。

コーヒーを淹れ、食卓に並べる。


「さ、慶子さんのご両親の差し入れ、キルフェ某のタルトやで」


各々タルトとコーヒーを堪能する。


「キツネ、今年は除夜の鐘と初詣、どうするん? 」


小町がコーヒーカップを両手に持ち、キツネに尋ねる。


「除夜の鐘は、俺のお父さんが子供の頃に行ってた、いう左京区のお寺さんに行こうかなぁ、思てるんやけど。突かせてもうて、そのまま平安神宮に行こう。氏神さんは朝改めてお参り行く、いうことでどうやろ」


「キツネのお父さんから聴いたことあるわ、そのコース」


「除夜の鐘、突いたことないです! 」


『なかなか無い経験やなぁ』


「平安神宮は、エライ人やから気いつけなあかんけどな。初詣の屋台もぎょうさん出てるし、楽しいと思うで」


「元旦に、氏神様へお参りに行って、そのあと伏見稲荷へお参りするながれでしょうか? 」


「そうやな、まぁ、それこそエライ人出やから気合い入れていこう」


『御札もお返しして、新しい御札を分けてもらう感じやな』


「その流れで行こう。で、今晩やけど、慶子さんもおるさかい祇園まで歩いて

バスで錦林車庫行って、そっから歩いてお寺さんでちょっと待つ、ちゅうことで」


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左京区のお寺に到着。1時間ほど待って除夜の鐘の鐘突がはじまる。


最初はお寺のお坊さん、檀家さん。それから待っている一般の参加者の順でついていく。

キツネ、小町、慶子、そしてダクが一緒に鐘を突く。

お寺をあとにし、平安神宮を目指す。


0時に差し掛かるところで、足を止める。


「明けましておめでとうございます」


「旧年中はお世話になりました」


「本年もよろしくお願いいたします」


『よろしゅうおたのもうします』


人混みにもまれながらも平安神宮でのお参りを終わらせ、知恩院の門前を通り、円山公園の屋台を冷やかし、そのままキツネ亭に戻る。

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