第19話 会合

キツネが南雲慶子に相談した内容は以下の通り。


・伏見氏発注、としているお揚げさんの代金支払を南雲氏経由にできないか、費用はキツネ負担とする。おそらく出どころをはっきりさせることができないお金で捻出するものになるので、流れが不鮮明になることを避けたい。


・いくつか考えてる金銭の捻出方法に関して、税金やなんやというややこしいことを相談したい。一日25000円という費用のかかるダクの捻出には少々の力技も必要となると思われるので、うまくフォローしてもらえると助かる。


・シュレンの存在は、秘密にしてほしい。ダクもキツネも、何かの関係があって困っている人を助けることはあっても、決して正義の味方ではない。日常の生活を送ること、ダクに関しては毎日のお揚げを食べること、キツネに関しては学生なので本文たる勉学にも集中したいということ、これらを妨げることは例え誰かの命がかかっていたとしても、冷たいと思われるかも知れないが関わらない。そのことを、理解してほしい。


費用の捻出に関しては南雲家から提供を申し出られたがこれは丁重にお断りする。

彼女を助けたのは善意ではなく、伏見氏のたっての願いだったからだ。また、年間1000万弱の金額を負担し続けてもらうのはダクもキツネも嫌だった。自分たちでできることは、自分でする。


呼び方もダク様、鷹来様、と呼ぶことをやめてほしい、ダク、キツネと呼んでほしいと慶子にお願いする。さんづけするところでおさまったが。


慶子もキツネも同学年、21歳。それならば、と納得をしてもらう。


「伏見さんが来てくれはって、話がスムーズに行きました、ご迷惑をかけてしもうてすみませんでした」


人数分のコーヒーを淹れてちゃぶ台に並べるキツネ。もちろん、ダクの分も忘れない。


「あ、美味しい……私、ブラックでコーヒーを飲めたのは生まれて初めてです」

「キツネ君は、ほんまにコーヒー淹れんの上手いわ」

『(ズズズズ)』

「ああ、おおきに、喜んでもらえて嬉しいわぁ」


「お父様にも相談してみますが、おそらく、キツネさんが小さい会社を興す、その経理の中でまわす、外部とのやり取りに南雲ホールディングスのグループ会社をかませる、ということでどうでしょう?」


「なるほど……考えを具体的にしたらまた改めてお願いすると思います」


「ほな、ワシは戻らせてもらうわ。またシュレンにお願いがあれば来るからな」


「伏見さん、重ね重ねありがとうございます」

「伏見様、ありがとうございました」

『伏見の方様、今後ともご指導ご鞭撻のほど……』


玄関を出ると気配が消える。


『あああああ、何回うても緊張する』


平伏したまま机の上で伸びるダク。


「ダクさんは本当に伏見様が苦手なのですね」


「いや、認めてもろうたが短すぎて振る舞い方がわからへん、ちゅうのがホンマのとこやとおもうけど」


『何とでも言いよし』


頭からプシューッと湯気が出る、そんな映像がみえる、多分、キツネ、慶子の気のせいかも知れないが。


「チームシュレン、ですかね、キツネさん? 」

「なんや、それ」

『あんた、面白がっとるな……』


変なチームが結成されてしまった、が、決して波風が立ちませんように。

そう願うキツネであるが、そうはイカの……ぽぽ焼き、である。


(一部完)


(あとがきにかえて)

ほぼほぼ、初投稿です。至らぬ点があっても、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。

思いつきで書き始めたものですが、書いては消し、消したものが戻らない、そんなことを繰り返して全体を通して駆け足になってしまいました。

まとまった時間が中々取れないので修正とかうまくできないかもしれませんが、重ね重ね、生暖かい目で見守っていただければ幸いです。

(miyapc)

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