第12話 南雲氏

千本鳥居の外れで、伏見氏から南雲氏の娘さんへの対処を依頼されたキツネ+ダク=シュレン。


神仏にすがるしか手がない、そこまで追い詰められた南雲氏が参拝を終え、駐車場に向かう一瞬、伏見氏が落ち葉を巻き上げる。


「ダク、ワシラの周りを包んで視覚を阻害せい」


『はっ』


大きめの筒のイメージで、駐車場の端で上からかぶせるイメージで、外部からの視覚を阻害する。


「こ、これは」


「南雲慶一さん、ワタシは伏見と申します」


「なぜ、私の名を・・・?」


から信心深い南雲さんに助力せよ、と仰せつかりましてな。ここにおるシュレンが力になってくれるでしょう」


「(え、どうにかできんの、ダク? )」


『……』


「(おーい)」


戸惑うシュレン。


「ほな、頼んだで、シュレン。南雲さん、ワシラはお稲荷さんとは。他言無用で頼みます。これまで通り信心を忘れんようにな」


木の葉を巻き上げ、姿を消す伏見氏。


「(伏見さん、もしかして、俺らに押し付けた……? )」


『(そんなん言うたらアカン! 夢々思たらアカンで! )』


「……シュレン、さん? 」


南雲氏に話しかけられ、はっと振り向くシュレン。


「(ダク、ここは俺が話す、声色変化させて)」


『(了解)』


「南雲さん。シュレンと申します。娘さんのことを、先程の伏見氏に頼まれたのですが……なにはともあれ、一度娘さんに会わせていただくことは可能でしょうか?」


「娘はもう、手の施しようがありません……もう、神仏にすがるしか無く、今日もこうしてお参りに来たのですが……ぜひお願いします」


溺れる者は藁をも掴む、ということか。


「南雲さんは車で滞在先にお戻りですね。私のこの格好、周りから奇異の目でみられてしまいます。住所を教えていただければ到着時間に合わせてお邪魔します」


「わかりました。左京区の南禅寺近くの別荘です。こちらが住所です」


名刺の裏に住所を書き、シュレンに手渡す南雲氏。


「では、後ほど」


視覚阻害を解除し、伏見氏の例に従い落ち葉を巻き上げ、姿を消すシュレン。


二人はキツネ亭へと戻ってきた。


「ダク、なんか手はある? 」


『診てみいひんことにはなんとも言えへんけど……』


「あんな、俺、ちょっと思いついたことがあんねん」


『え? 』


書斎の机の上にノートを広げ、キツネが思い描いた作戦をダクに説明する。


『なるほど……これやったらやれそうやな……でも、よう思いついたな 』


の人らをときの説明を聞いて、こういうことがでけへんかなぁって考えてたんよ」


『ウチはなごう生きてるさかい、能力やら知識はあるかもしれんけど、アンタのような発想のが無い。ウチら、やっぱりええコンビや』


「よし、じゃあ伏見さんと南雲さんのお願い事、叶えに行くで! 」

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