あんたとあたし紡ぎだす世界も悪くはない

第4話

その日を境に、タクミとあたしは最初では考えられなかったほどに仲良くなった。先生が一度も席替えをしなかったので、席が近くだった、ということも影響し、あたし達はなんでも言い合える仲になったんだ。

　それと同時に、あたしがタクミにたいする想いも友情になって消えるどころか、ますます募って、あたしはそれを隠すことに必死だった。奥へ奥へとその想いを押し込めて、心を頑丈にしばっても、その中から聞こえる、消えることのない想いの叫びはいつでもあたしの耳に届いていた。

　本当は、笑顔の下にあるその想いに気づいてほしくて、本当は、誰よりもあたしを見ていてほしくて、どうしてもタクミの世界に入るためのパスポートがほしかった。

　タクミに好きな人ができた、と相談された時も、苦しくて苦しくて、涙をこらえて話を聞いて、落ち込むタクミを励まして、その人と付き合えた、と嬉しそうに言うタクミに傷ついて、何度も何度もタクミを想って泣いた。その、少し腫れて赤くなった目に気づいてほしくても、タクミが見ているのはあたしじゃない。

　こんなに近くにいて、いつだってタクミを想ってきたのに、どうしてあたしを見てくれないのだろう、と切なくなった。それはあたしのわがままだってわかっているけど、それでも友達としてじゃなく、一人の女の子として見てほしいと願わずにはいられない。

　別れろ、なんて最悪なことを思った自分に腹が立ち、実際タクミが彼女と別れて少し落ち込んだ時も、励ましながらも、よかった、とホッとする自分が嫌いで、それでもすべての想いを隠したまま、笑顔を顔にはりつけて友達として演じることが上手くなった。

　けれど、友達を演じるたびに、あたしの想いはあふれだす。無駄な期待だとわかっていても、そこにほんの少しの可能性があるのなら信じてみたくて、未練がましくあたしはズルズルと、タクミへの想いにしがみついた。

　苦しくても、つらくても、ズタズタにされても、諦めるには、引き返すにはもう遅すぎた。そして、あたしももう、あふれ出そうな気持ちをおさえておくことなんて限界だった。