第21話 調査2
しょうがない、とか言ったがカエデは正直逃げたかった。
ミイアが集中しているからだ。
ミイアは集中すると性格が変わる。正確には言葉が冷たくなる。誰に対しても、だ。
なのでカエデは提案した。
「俺がジャンプして『気配察知』をフルに活用した状態でいろんなところに着地して様子を見る。ミイアは村に戻ってこの森の様子を伝えといてほしい」
「わかった。さっさとしよ」
やはり冷たい。思わずカエデは
「はい」
と敬語になった。
提案を受け入れてくれたことにホッとしつつ、行動に移した。準備運動のおかげで体が少し温まったので膝を飛びやすい最大まで曲げて上にジャーンプッ!
しっかり膝をを使った跳躍は木の高さの5倍くらいの位置で一時的に止まった。その時に森を見回した。
すると、鳥が慌てたように自分の下を飛んで行ったので飛んで来た方を見ると鳥系の魔物が少なくとも20匹はそこに飛んでいた。
この森には鳥系の魔物は少ないはずだ。なのに、20匹もいるのはおかしい。
結局『気配察知』を使わずに異変に気がついた。
そのまま落ちそうだったので、ステータスを使ったら空気蹴って食べるんじゃね?
と思ったカエデは空中でうつ伏せになり膝を曲げて思いっきり空気を蹴ってみた。
カエデが思った通り空気を蹴って思った方に進めた。物凄い爆音と共に、だが。
当然そんな音がすれば魔物が気付き、こちらに向かって鳥系の魔物のガルーダと突撃カラスが合計10体こちらに向かってきた。
ガルーダは約3メートルあるタカの魔物だ。その最大の特徴は鋭く硬い爪である。爪は30センチもあり、岩をも砕くとも言われている。目も良いため、上空からの奇襲によって命を刈り取る。
討伐するためには最低でもLv20は必要だ。
突撃カラスは、30センチしかない。魔物にしては小柄だが、くちばしが10センチもある。
名前の通りくちばしを突き出し、突撃する。しかし、くちばしは脆いため突撃に合わせて避けられるとそのまま死ぬことがほとんどである。また、金属の鎧に当たっても死ぬ。どう足掻いても死ぬ。
討伐するためには、技術、もしくは硬いものさえあればLvはいくつでも構わない。
最初に、突撃カラスが4匹向かってきた。慌てて腰の短剣を抜き右手に持ち、迎撃の態勢に入る。左斜め下、右斜め下から2、遅れて正面に来た。
とりあえず相手の攻撃を逸らすことに集中した。左斜め下から来た突撃カラスのくちばしを左手で掴み少し後退する。つもりだったが蹴った勢いの方が強かったせいで突撃カラスを左手に装備したような状態になった。
なので仕方なく、短剣の腹で右斜め下から来た1匹のくちばしの横から押した後ろに流す。もう1匹は突撃カラスの腹を盾にしてくちばしがそこに刺さった時に脇の下に突撃カラスを通るようにした。
そして最後の一匹を処理しようとしたが、自分に影がかかった。上を見るとガルーダが急降下してきていた。上を少しの間見たせいで、突撃カラスがすぐ近くまで来ていた。
仕方ないので素早く短剣を薙ぎ払って体を切断した。
「っ!?」
そこで思わぬ事態が、切断できたのはいいものの、勢いが止まったわけではない。
そのため突撃カラスのくちばしが刺さった。と思ったが、防御が高かったので、くちばしからの衝撃がきただけで済んだ。
しかし、その衝撃に痛みを覚えて、上から来ていたガルーダに隙を与えた。その隙はガルーダには大きすぎた。
「クソッ!!」
その声とともに真下の地面に叩きつけられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます