第3話

ルカを男に手伝って貰い埋葬した後、再び家に戻った。



「それで、お前はどうするんだ。」



男が鋭い目をさらに鋭くし、力強い目でそう問う。



ルカへの誓いを近くにいたのだから、聞こえていたのにも関わらず何故かそう聞いてくる。



覚悟を問うように。



「俺は、この村を襲い、村の皆を、ルカを殺した奴を必ず殺す。」



「その道を歩むことが、どう言うことなのか分かっているのか。その道の先に得るものなど何もないぞ。」



「それでいい。奴を殺すことだけが、俺の生きる理由全てだ。奴を殺した後、俺の道はそこで途絶える。」



男は、下を向き何かを少し考える。



「なら、俺から言うことは何もない。それで、お前は相手の顔は分かっているのか?」



「ああ、一瞬だけしか見てないが、奴のあの顔を、目を一生忘れない……あの白い目を。」



白い目と聞いた時、男が一瞬痛みを耐えるような顔をする。



「俺はそいつに心当たりがある。」



「なんだと!?」



男の衝撃な発言に驚く。



「白い目、そして、1人で100人もの村人を真正面から殺せる実力。そんな奴は、早々いない。多分だが、ガグラという盲目の剣士だろう。」



「ガグラ……そいつがルカを。」



復讐の相手の名前を、激しい憎悪にまみれた声で呟く。



「もしガグラであった場合、お前の復讐は簡単には行かないだろう。」



「それは、どういうことだ。」



復讐が簡単には出来ないと言われ、男を睨み付け低い声で理由を問う。



「ガグラは、王の剣の1人だからだ。」



「王の剣?それは、なんだ?」



「王の剣とは、6人からなる王直属の騎士のことだ。王直属なのだから、その実力は国でトップを誇る。」



「王直属だと……ということは、皆は王の命令で殺されたのか?」



「そうとは限らないが、その可能性は高いだろう。」



まさか、王まで絡んでくるとは。



ルカ……俺達は一体何に巻き込まれたって言うんだ。



「そうか……」



「殺したのはガグラだが、命令したのはこの国の王かもしれない。お前は王も殺すのか?」



もし、ルカを殺せと命令した奴がいるのならそいつも同罪だ。



だが、この国の王に、王直属の剣士。



その実力は、俺に勝てるものなんかじゃない。



俺は仇を……取れるのか。



復讐相手が圧倒的な強者という事実に心が揺らぐ。



いや、取るんだ。



何がなんでも。



例え、刺し違えてでも。



そのためには、強くならないと。



今の俺では手も足も出ない。



強く、強く、強く。



「今は王のことまでは考えない。取り敢えずは、ガグラを殺す。その後、王に対しては考える。」



男はまた、何かを考えるように目をつむる



「そうか。だが、今のお前ではガグラを殺すのは夢のまた夢だろう。」



「分かっている。」



「そこで、どうだ。お前を助けたのも何かの縁だ。俺の弟子にならないか。」



「あんたの?」



弟子になるのはそれほど悪い話でもない。



剣を握ったこともない俺が、強くなるには誰かの教えを乞うのが早い。



でも、中途半端な実力の奴に教えてもらっても、変なクセとかが付いても困る。



こいつはどうなんだ。



俺の心情を知ってか、男は少し口角を上げて言った。



「ああ、俺は強いぞ。」



その瞬間、空気が変わった。



なんだ……これは。



息をするのが苦しい。



手が震えている。



゛死〝



圧倒的な死のイメージ。



そのイメージが、この男から発せられている。



「どうだ?俺は合格か?」



男がイタズラが成功した子供みたいな表情でそう言った。



ああ、こいつは強い。



こいつに教えを受ければ、俺は強くなれる。



「意地悪な質問だな。こっちからお願いしたいぐらいだってのに。」



苦笑いしながらそう答える。



「そうか。ならこれから宜しくな。俺はギルだ。」



ギルが右手を出す。



「ハルだ。宜しくお願いします師匠。」



俺も手を出し握手した。



ルカの笑顔が好きだった。



ルカの仕草が好きだった。



ルカの声が好きだった。



良いところも、悪いところも、全てが愛おしかった。



ルカの全てが好きだった。



それをガグラは奪った。



必ず、ガグラを殺す。



茨の道だってことはわかってる。



だが、やり遂げる、やり遂げて見せる。



ルカのために、俺のために。



こうして、俺の復讐への道は始まったのだった。


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最愛の人を殺されたので、復讐しようと思います @asasin123

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