第64話 ギンVSツウサン⑤
俺はあのロボット、オーワンを倒す作戦が思い浮かんだ。それは、あいつの最大の弱点である部分がわかったからだ。
「なるほど、だからあの時……」
俺はよくよく思い出してみると違和感を感じた部分が出てきた。何でさっきの攻撃は当たったのに最初の攻撃は当たらなかったのか。この最大の問題を解決するオーワンの特性が何なのか。俺は仮説であったが思い浮かんだ。これで1回試してみよう。
「何を考えているかわからないがお前にはオーワンを倒すことすらできない」
オーワンを操っている黒幕であるツウサンが俺からかなり離れた場所で高みの見物をしている。そのツウサンの表情は笑っている。それはいくら俺ごときが考えても無駄だということを意味してるように見えた。だが、奴がそんなことを思っても俺には関係ない。俺は、こうと信じたからには絶対にオーワンを倒してみせる。
「はあああああ」
俺は、オーワンに向かって突撃をする。手には刀を握りしめている。
「無駄だ! オーワン、プロテクトモード」
ツウサンはオーワンにプロテクトモードの命令を出す。だが、このことは俺にとっては想定内のことだ。奴がプロテクトモードを使うことぐらいはわかっていた。だから、俺はオーワンの手前まで全力で走っていき直前というか真正面で走るのをやめた。つまりはオーワンの目の前で止まったのだ。
「ギンさん!」
ツウサンに捕まっているピーチェは俺の名前を叫んだ。それもそのはずだ。こんな場所にいればオーワンの攻撃などすぐに受けてしまう。だが、俺には確信があった。攻撃はこない。
「……」
オーワンは俺が攻撃の範囲内にいる絶好のエサなのに動くことがない。俺のもくろみ通りであった。そして、この状況でオーワンの命令をしているツウサンがする行動はこの後1つしかない。遠く離れた場所から高みの見物をしているツウサンは口を開く。
「アタックモード!」
「これを待ってた!」
「何っ!」
俺はツウサンがアタックモードと叫んだ瞬間にアタックモードへと変化したオーワンの懐に入り込み思いっきり刀を振る。
「はあああああ」
オーワンは右手で守ろうとするがそれはすでに遅かった。俺の刀はオーワンの体の中心を貫いた。
バシュ
ドッガーン
刀がオーワンを貫いた音の後、オーワンが真っ二つに分かれて爆発した音が俺の耳にもこの空間にも響き渡った。無残にもオーワンであったものは粉々となっている。その状況にツウサンは怒りを露わにする。
「何だと!? お前、俺の俺の最高傑作をよくも、よくも壊したな」
「最高傑作か。なら、ちゃんとモード切替に関してもっと整備しておくんだな」
俺は未だオーワンが壊れたことに嘆き怒っているツウサンに言う。そう、俺が仮説として立てたのはオーワンのモードであるプロテクトモードとアタックモードは併用できない点だ。どちらかを使っているときはどちらかを発動できない。端的に言うと攻撃と防御は同時にできないということだ。だから、俺はオーワンに攻撃させるように仕掛けさせた。だからわざわざオーワンの目の前で危険覚悟で止まったのだ。
「しっかし、俺の予想通りでびっくりしたぜ。もっとえばっているから強いと思ったがこれは残念だ」
俺はツウサンに言う。本当に残念だ。ここまでえばりながらも攻略方法を見つけた瞬間にあっという間に倒せてしまうなんてぬるかったとしか言いようがない。まぁ、ここまで苦戦しているから何とも言い難いのだが。
「お前、ギン貴様。絶対に俺の手で殺してやる。この科学の力で絶対に倒す。魔法なんて魔法なんて強くないんだあああああああああああああ」
遠くにいたツウサンは急に叫び始めた。その叫びはとても禍々しく感じられた。そして、この禍々しさはどこかで見覚えがあった。
ツウサンは叫ぶと同時にその体に黒い霧のようなものを纏い俺からはその姿を確認することができなくなった。
「ああああああああああああ」
叫びが続く。
そして、黒い霧のようなものが晴れると俺はその中から出てきたツウサンに驚愕したのだった。
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