第58話 その眼(アイリス視点)
─砂漠の地下???(アイリス視点)
「はぁ~」
「どうしたのピーチェ?」
私はピーチェがずっとため息をついていたので聞いてみた。ピーチェの顔は誰が見ても疲れているようにしか見えない。
「ため息をつかない理由がないでしょ」
ピーチェは不機嫌そうに答えた後続けて言う。
「よくも、アイリスは何とも思っていないね。いい、私達は今囚われの身なのよ」
囚われの身。ピーチェはそう言った。
そう私達は今何者かによって囚われている。主に手に拘束具が付けられており天井からつるされている状態である。こうなってしまった理由がわからないけれどギンが助けに来てくれるのを待ってないといけない。ただ、ギンはすぐに来てくれると私は信じている。ピーチェも口にしていないけど私と同じく信じて待っている。
だから、ギン。早く助けに来て! 私達はここにいるよ!
私は心の底から祈った。
「そろそろ君達を利用しなければならないな」
「「!」」
私が祈った直後に謎の男が1人現れた。顔はここからじゃ下過ぎて見えない。
「誰っ?」
ピーチェが叫ぶ。私も同じだ。あの男が誰なのかわからない。
「くくく。まぁ、騒ぐな。そんなに騒ぐと女の子らしくなくなるぞ」
その男はとてもゲスイ笑い声をした後そう言った。
女の子らしくなくなるとはひどいことを言うものだ。
「あんたなんかに言われたくないっ!」
私は叫ぶ。あんな男に言われる筋合いはない。
「ほぉ~。そんなこと言っていいのか? 今お前たちの命は俺が握っているも同然なんだぞ。俺が起こったらどうなるかわからないのか?」
「っ」
私は迂闊に何もすることができず唇をかみしめた。確かに今の私達はあの男の言うとおり命が握られている。ここはおとなしくしていないといけないのか。
「あなたの目的は何なのっ!」
ピーチェがまだあきらめようとはせずあの男の目的を聞き出そうとしている。私はこの時ピーチェの勇敢さに感動した。ピーチェは必死に拘束具を外そうと体を動かす。しかし、拘束具は体を動かしただけではビクともしない。
「くくく。まだ、抵抗しようとするのですか。いいでしょう」
男はそう言うと不気味な笑みを漏らし指を鳴らした。
パチン
指が鳴ったのと同時に悲鳴がこの空間に響いた。
「きゃあああああああ」
「ピーチェ!?」
悲鳴の発生源はピーチェだ。ピーチェの服がところどころ燃えたのか焼き切れている。これはつまり拘束具から電流が流れたのだ。
「大丈夫、ピーチェ」
私は必死にピーチェの名前を呼ぶ。ピーチェはとても汗をかいていた。それほどまで追い詰められたのだ。あの男、ゲスイ手を使ってくる。私は男を睨みつける。男は私の表情を見て愉快そうだ。
「いいねいいね、その眼。その眼だよ。俺が求めていたのは。俺はその眼を見たかったんだ。これならギンの奴からもその眼を見ることができる。最高じゃないか。ハッハハッハハ」
ギン?
私はその名前に反応していた。あの男の狙いはギンだったのか。なら私たちの場所に来てはいけない。私はギンに助けを求めていたはずなのにここに来ないでと祈り始めていた。
「その眼がそんなに見たいなら見せてやろうかっ!」
「「「!」」」
その懐かしい声に私とピーチェ、そして男は反応した。
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