第52話 砂地獄



 さて、レイが戦闘不能というか行動不能になってからしばらく経った。俺はそろそろレイの心も立ち直ったと思い声をかける。



 「もう、大丈夫か。ほれ」



 俺は優しく手を差し伸べる。レイは、どうにかその手を持って立ち上がる。しかし、次の瞬間にはまた、



 スルリ



 「あっ」



 「きゃああああ」



 ズボンがまたまた脱げた。


 俺の視界にはあのレイの白いパンツがおもいっきり見えている。純白な色だ。もうレイのパンツが俺の脳裏に焼き付かれている。………やめろやめろ。考えるな。俺は変態ではない。俺は変態ではない。俺は変態じゃない。レイのパンツで発情しないぞ。いや、発情しないとむしろ変態じゃないか。俺は女子に興味ないということになってしまう。………そんなことを考えるな。無心だ。無心。俺の鋼の精神よ、頼む持ちこたえてくれ。


 そして、俺はどうにか持ちこらえたが、次に悩み事となったのはレイをどうするかが問題だった。もう替えの服などは存在していなかった。では、どうしたものか。


 俺には名案が浮かばなかった。それは、ピーチェ、アイリスも同じであった。ピーチェとアイリスも替えの服など存在していない。自分の服で精いっぱいだ。どうすればいいんだ。俺達は、必死にその場で考え続けていた。どうすれば一番いいのかということをだ。



 ドドドドド



 その時、考え事をしていた俺達の耳には謎の音が聞こえた。砂漠中に響き渡っている。これはただ事ではないものだ。



 「何?」



 ピーチェは慌てている。それは、レイもアイリスも同じだ。ただ1人俺だけにはこれが何かわかっていた。おそらくはサソピエルだろう。あいつめ、またしても俺の邪魔をするのか。行きの時は散々腹が立ったから今回はもっと痛みつけてやる。俺は音のする方を向いている。



 ドドドドド



 そして、音はついに俺達の近くまでやってきた。俺は構える。所詮はサソピエルだ、だから一撃で倒してやると心構えをしておく。しかし、ゅうに事態の深刻さに気付く。それは俺が思っていたものとは違うものであったのだ。俺の目の前には謎の砂地獄が、砂地獄かそこまで近づいていた。しかもものすごい速さでだ。



 「これは!? サソピエルじゃない!」



 俺は慌てて叫ぶ。そして、続けて今すぐここから離れろとピーチェ、レイ、アイリスに向けて言う。俺の動揺に気づいたのか3人はすぐさま動き出す。俺もそれに続いて動き出す。俺は後ろを確認する。もうすぐそこまで来ている。だが、これなら逃げ切れるかもと思った。


 しかし、謎のものは俺達に追いついて砂地獄で引き入れた。俺達は、抵抗しようともがく、もがく。もがいたがそのまま砂地獄に巻き込まれ砂漠の地下へと誘われた。俺とピーチェとレイとアイリスは砂地獄によって地上から姿を消した。



 そして後でここを通った人の話によると地上には俺達がいた跡は何も残っていなかったという。

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