第46話 ギンVSルイ②

 俺達が見たものとは………。



 「そ、その姿は………」



 俺は絶句してしまった。ルイはルイは消えていた。いや、消えていたという表現は正しくない。姿が変わっていたのだ。姿が変わると言われてしまうとやはり先のゾームとの戦いが鮮明に思い出すことができる。あの時は、本当に大変であった。しかし今回は前回の強情オブスティニカシィを司るオブスティニカル・ブラック・デーモンのような漆黒のモンスターではないことは一安心であった。漆黒のモンスターがそんな簡単に出てきてもらっても困るものだ。では、俺達が見たものとは何なのかといわれると答えることができない。いや、答えるのが恥ずかしいぐらいのレベルのものだ。そんなに恥ずかしいものが俺達の目の前には存在したのだ。



 「どうしたのだ? これが我が最強であることを表す象徴的なものだ。ハハハ」



 「………」



 ルイの奴は完全に自分が最強だと思い込んでいるがその話をよそに俺は沈黙を続ける。いや、言葉を出すことができなかった。その沈黙をルイは何か勘違いしてとったのかルイは満足そうに流暢に話を続ける。



 「我が最強すぎて言葉を失ったのか。ハハハ」



 ルイの甲高い笑い声が部屋中に響き渡る。まだルイの奴は大変満足そうだ。自分が最強だとまだ思いやがっている。俺は、沈黙を続けていたがついに重くふさがっていた口を開いた。



 「お前、ばかだろ」



 「何だとっ!」



 俺の第一声は完全なる罵倒であった。俺は罵倒せずにはいられなかった。さて、俺が罵倒した理由というのはきちんとあるのだ。それが奴の今の姿だ。本当は口にしたくなかったのが俺はルイに向かって言った。



 「それが、最強の姿? はっ、笑わせるなよ。その、か、仮面をかぶって、ま、マントをつけているだけの姿が最強なのか?」



 俺は後半の部分を言うのを一瞬ためらったがどうにか言うことができた。ルイの姿というのは実は変わってはいなかったのだ。最初は光のせいで見えたシルエットから変わっているように見えた。しかし、いざ光が薄くなって見えてくるとそこにいたのはダサいどこかの子供が変身ごっこでもしたぐらいのレベルのマントと祭りの屋台に売っていそうな仮面をかぶっているだけであった。



 「我を馬鹿にするな! 外見だけで決まるものではないんだぞ! 今に見せてやる」



 ルイはずっと怒っていた。まあ、俺がばかにし続けたのだから怒るのは当然の結果だろう。しかし、こんな奴がこの闇市場のボスなのか。話せば話すほど信じられなくなる。しかし、今はそんなことを考えている時ではない。まずはこいつを倒してからすべてを聞きだし、ここにいるすべての闇商人を捕えておかなければならない。



 「見せてくれよ。その最強の力をな」



 最後に俺はもう一度というかとどめの挑発をした。この言葉を聞いたルイはついに本格的にキレた。



 「いいだろう。その減らず口をどうにかしてやる」



 お互い戦闘の構えをする。俺はルイを見つめる。ルイは俺をにらみつける。両者は今にも動き出そうとしていた。


 そして、ここに俺とルイとの戦いが本格的に始まった。



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