第18話 回復魔法
その魔法とは、全知全能の完全回復魔法である、
「 perfection・recovery (パーフェクション・リカバリー)」
俺が、その魔法を言うとメイの周りが輝きだしオレンジ色の幕が形成された。オレンジ色の幕に囲まれたメイの顔色は最初はもうあと少しで死んでしまうかと思われるぐらいのものであったが、少しずつ時が経過すると顔色が良くなってきた。そして、10分も経つと完全に顔色は良くなり何もなかったかのようになった。むしろ最初からこれぐらいの顔色であったかと思わせるぐらいの良好さであった。
ただ、俺の方には相当な疲労がたまった。この魔法を発動すると体力ががっちり魔力と一緒に奪われてしまう。だから、疲れた。俺が使える回復魔法がこれだけなのも本当の問題だと改めて理解させられた。
だが、それと同時に俺が使える回復魔法がこれでよかったも思える。この魔法ならば自分を犠牲にしてでもいろいろな人を助けることができるから。
俺はそう思ったが、もう限界は近づいていた。
バタン。俺は、その場で倒れた。もう疲れた。限界だ。これはしばらく休まないといけないな。俺はそのまま目を閉じて深い眠りに───。
深い眠りのつけなかった。どうしてかというと、目を閉じた後突然爆音が発生したからだ。
「ギンさんっ!」
レイが叫ぶ。メイの肩を支えている状態であった。
何だ? この爆発音はと考えた俺であったがよくよく考えてみると今エードと不死の宝石の連中が戦っている最中であった。………戦っている!? あいつが死ぬかもしれないとあれだけ注意していたのに別のことに夢中になってしまった。これでは本末転倒だ。いや、町の人を救いに来たのだから目的は間違えてはいないか。そんなことはどうでもいい。目の前のことに集中するだけだ。俺は気持ちを切り替えた。
「ギンさんっ! 早くしないと天井が壊れます!」
レイが叫ぶ。俺達のいた部屋はさっきの爆発の影響か崩れ始めていた。天井からは砂埃が落ちてきているがそのうち天井も本格的に落ちてくるだろう。このままだと全員天井の餌食となる。
「分かった。今すぐでよう」
俺は、町の人に外に出るように促した。町の人達は俺がそう言うとわれ先と逃げ出そうと動き出した。俺はみんなで協力して逃げてもらおうと思い誘導しようとする。しかし、それより先に町の人は冷静さを取り戻し、力持ちの男の人がけがをしている人の肩を抱いたりして協力して逃げ始めた。その光景を見て少し感動してしまった。
この町の人は何ともいい人たちなのだろうか。自然とそう思ってしまった。
「ギンさん。手伝ってください」
「ああ、わかった」
そして、レイに頼まれてすでにレイがメイの肩を支えているがそのメイのもう一方の肩を俺が支えて急いで牢獄の部屋を出た。
俺達が出ると同時に牢獄の天井は完全に落ちてきてもう部屋の原型というものはなくなっていた。
もし動くのがもう少し遅ければ……考えたくはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます