第14話 エード・クロニクル



 俺は、今とても大変だ。本当に大変だ。


 思い切って、盗賊と戦うことになったまでは良かった。しかし、誤算はそこから生まれた。俺が、失敗したと後悔していることそれは………。



 「待ちやがれ―」



 「ぶっ殺すぞ」



 「「「「死ねぇぇぇぇ」」」」



 このように俺は、今総勢50人以上の盗賊に追われている。俺は、50人もいるとは思ってもいなかった。もしいたとしても単なるザコだと考えていた。しかし、その考えは甘かった。盗賊は地味に強かったのだ。おかげで一発で倒せずにこんなように盗賊のアジト内をひたすら逃げ回っている。しかもこのアジトは谷に作られているものだから迷路のように道が入り組んでいる。おかげで、盗賊たちに先回りされるし、連れ去られて人たちを探し出すことすらもできない。



 「ああ、もうめんどいっ!」



 「なら諦めろや!」



 「そうだ、そうだ!」



 なんか、盗賊が言ってきているが全て無視。どうにかしてこの状況を脱出しなければならない。どうしたものか。



 「ファイアーボール!」



 デカい火の玉を盗賊にぶつける。これで少しは時間稼ぎになっただろう。しかし、すぐに追いついてくるだろう。この状況だけでも何とかして変えないと。俺がそう思っていると、アジト内の狭い通路は途中で終わり広い広間に出た。



 「ここは?」



 俺は、疑問を口にしていた。ここで、立ち止まってしまったため盗賊たちが後ろからすぐに追いついてきたが入口から先になぜか進まなかった。


 一体これはどういうことなんだ? これ以上進まないなんてここに罠が仕掛けられているのか。疑心暗鬼に追いつめられる。これが、奴らの目的なのか。しかし、それはすぐに違うと思い知らされた。俺の後ろ(つまり、盗賊たちがいる方とは逆)から1人の男が歩いてきた。



「お、お前は!?」



「さあ、我ら不死の宝石のアジトにようこそ。二級魔術師ギン君」



 「エ、エード? お前エードなのか?」



 「私のことを覚えていてくれたのか。それは、とてもうれしいな。私が仕事中に失踪してからもう1年か。意外と時が経つのは早いみたいだ」



 エード。二級魔術師エード・クロニクル。俺の同期だ。1年前に任務中に行方不明となり当時、魔法省は大騒ぎしたことがある。あの魔法省が大騒ぎしたというのはもし、行方不明になっていなければエードは一級魔術師に推薦されていたからだ。現に、俺は未だ覚えている。エードが出発する日に上から一級魔術師に推薦してやると言われていることを本人から直接口で聞いた。しかし、エードはその任務から帰ってこなかった。



 「まさか、こんな形で再開するとは思ってもいなかったがな」



 「私もだよ。まさか、魔術師が侵入したと聞いたが君だったとな」



 お互い積もる話はある。しかし、俺とエードは今は敵だ。だから、エードと話している時間は必要ない。先手必勝だ。俺は、エードに向かって走り出した。

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