第12話 誘拐
自分の部屋に帰った俺は、先ほどの話をピーチェにした。ピーチェは最初は渋っていたが、少し時間が経った後頷きレイを一緒に旅に連れて行くことを認めた。話が終わった後、俺達は疲れたので部屋の電気を消して寝た。本当に寝た。何もその夜はなかった。本当だからな。
翌日。
俺が、目を覚ますとベッドにはピーチェがいた。もう一度言うピーチェがいた。どうしてだ? と思ったのは一瞬で昨日のことをすぐに思い出した。
「ギンさん。私はソファーにでも寝ます」
俺がどんなに説得してもピーチェが最後までそういうことを言っていたので俺はつい言ってしまった。
「なら、ダブルベッドだし一緒に寝ようか?」
俺は、やや冗談で言ったつもりだった。しかし、その言葉を聞いたピーチェは顔を真っ赤にした後に「わかりました」といいそして朝に至るわけだ。そうか、朝になったのか。俺は、ピーチェを起こさないようにそっと布団から抜け出し部屋から出た。
俺が、宿の受付のある1階の大広場にやってくると驚いた。宿が荒らされていた。何だこの状況は? 椅子が壊され、机が倒され、壁は落書きされ正直ここまでのことが起きていたことに気付かなかったことが衝撃的であった。とりあえず、この状況を知らせるためにレイか主人を探すことにした。しかし、探す必要が無くなった。理由は、主人が壊された机の下敷きになっていたのを見つけたからだ。
「主人! 大丈夫ですか? 今すぐどかすので我慢してください」
「いや、私はもう無理だ。昨日からこの状況だからもう生きることはできないだろう。だから最後に1つ頼みごとを聞いてくれないか?」
「何ですか?」
俺は、静かに聞いた。
「レイが、レイが誘拐されてしまった。この状況を起こしたのも奴らだ。昨日君が倒した盗賊団不死の宝石の連中が復讐に来たんだ。奴らにレイは、レイは………」
レイが誘拐されただと。しかも昨日の連中にだと。まだ、仲間がいたのか。俺が、あいつらを殺しておけばこんなことにならなかったのか。俺が、あいつらを見逃したかったからなのか。
「主人! レイはどこに連れていかれたんだ! 教えてくれっ!」
俺は、必死になって聞いた。ここで俺があいつらをぶち殺してレイを絶対助けてやる。
「あいつらはここから北にある洞窟にアジトを作っている。レイのことは君に任せ、た………」
そうか、ここから北にある洞窟にいるのか。一度洞窟がある方を向く。しかし、ここからでは当然洞窟なんか見ることはできない。俺は、情報をくれた主人に感謝を言おうとしたら返事はなかった。
「主人?」
俺は、主人の方に振り向くと主人は目を閉じていた。慌てて脈をとるもすでに主人の息は引き取っていた。
「主人、主人ー」
俺が、来るのが遅かったから、もう少し早く来れば助けられたかもしれないのに、俺の力不足で死なせてしまった。だから、俺は決意を新たにした。主人の言うとおりレイを助けるんだ。そして、一緒に旅に行くんだ。
俺が、泣き叫んだ声が聞こえたらしくちょうど起きてきたピーチェがきた。俺は、ピーチェに事情を伝えると早速盗賊退治に行くことになった。
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