第7話 説得へ



 ピーチェとの修行を終えた俺は、ピーチェと共に宿に向かって歩いて帰っていた。いつもなら、軽い修行であるが今日はいつも以上にピーチェの気合の入れようだったのでものすごいきついメニューにしてしまった。そのためか、俺もピーチェもお互い修行で疲れたのか沈黙の状態だった。それが長いこと続いていた。



 「「……」」



 「あ、あのギンさん」



 ピーチェは、突然沈黙を破り俺に話しかけてきた。



 「ギンさんは何時帰るんですか?」



 ピーチェが質問してきたのは俺がいつ帰るかということだった。実際のところ俺は今休養しているからこの町に滞在している。リヴァとの時に疲れた体のリフレッシュが終われば仕事の終了の報告をしなければならないので帰らなければならない。この町にいつまでもいられないのである。そして、ここ最近は体調が良くそろそろ帰ろうと思っていたころである。



 「う~ん、そうだな。最近は体調が良いしそろそろ帰る時なのかもしれないな」



 俺は、素直に変えることを告げる。



 「そ、そうですか………」



 俺の話を聞いたピーチェは見るからに元気をなくした。もう、修行ができないことがそこまで残念なのか。ただ、ピーチェもいつかは魔術師になるためにもエイジアに来なくてはならないだろう。ただ、ピーチェには才能がある。俺としては一緒にエイジアに行ってもいいけど問題がある。



 「それなら、一緒にエイジアに来るか?」



 俺は、ピーチェに尋ねる。



 「ほ、本当ですか!」



 ピーチェの目が一瞬で輝いた。しかも、今まで見たことのない万年の笑みをしている。ピーチェってこんなに可愛かったんだと思ったが言わないでおく。


 あくまでも本人を茶化すためではない。



 「ああ、本当だ。だが、問題があるだろう?」



 俺は、ピーチェに尋ねる。ピーチェはその答えとして頷く。



 「……はい……」



 俺はか弱く頷いたピーチェを応援することもかねて笑顔で俺なりの手助けをしてあげることとする。



 「さてと、何発殴られるか蹴られるかわからないけど俺から話しておくよ。ピーチェのエイジア行きの話についてはあのご主人にはね」



 そう、俺達が問題と言っていたのはピーチェの父であり、俺が泊まっている宿のご主人であった。彼は、娘を溺愛しているためおそらくはいや、確実に反対するだろう。対称的ににピーチェのお母さんは簡単に承諾するだろう。今ピーチェとの修行のことを知っているのはピーチェのお母さんだけだから。この日、俺はこの話し合いから戦場に行くことになるとはまだ知らなかった。

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