第3話 洞窟
俺が野宿した場所は近くにあった小さな洞窟であった。そこには人1人が入れそうなスペースが存在した。とりあえず野生のモンスターがいないことを確認したうえで洞窟の中に入り寝る準備や食事の準備を始める。
俺は準備中に昔のことを思い出していた。
そういえば以前は、洞窟で野宿をしたときに誤ってモンスターの巣に寝ていて、あの時は大変だった………。それ以来洞窟で野宿をすることが一種のトラウマとなっている。だが、近くに何もない砂漠ではそんなことを言っている贅沢などない。砂漠の気温は高低さが激しい。昼は暑くても夜はとても寒い。こんな場所で寝たら完全に死んでしまう。そんなのは絶対に嫌だ。
いつしかの思い出を振り返っていたが今日はそんないつかの日のような出来事はなさそうなのでとりあえず安心して火を焚き、食事をして、そして寝袋にくるまって寝た。そして、その夜はモンスターに襲われるなど何も異常なことはなかった。だから気づいたらぐっすり寝ていた。
翌日の朝。
「ふぁぁぁ~。よく寝た~」
どうやら思っていた以上にぐっすり寝ることができていたらしい。その証拠に俺の銀色の髪に寝癖がついていてありえないほどはねていた。
「寝癖がひどすぎる」
俺は声に出してみたがここは『アフーカ』に行く途中の砂漠の中。一人旅だということであって誰も俺の独り言にうんともそんとも言ってくれない。周りに人がいないのは寂しい。寝癖を直そうにも水など近くには存在しない。あるとしても水筒に入った飲むための命の水だ。ここで無駄にするわけにはいかない。
「一人旅は悲しすぎる。早く仕事を終わらせて帰ろう」
俺はそう思いさっそく洞窟の中に散らかしていた自分の持ち物をまとめ上げて『エイジア』へと足を踏み始めた。
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