第40話
私は、またひとりぼっち。
でも、寂しくない
おやつの時間が過ぎれば、博くんに会いに行き……
先生が迎えに来れば、先生と帰る。
それのくり返し……
先生は、長く付き合ってくれた。
根気よく付き合ってくれたんだと思う。
私は、そんな事など気にしないで、毎日博くんの元へと遊びに行った。
そんなある日……
博くんが病室から消えた……
私はいっぱい、いっぱい病院を探した。
だけど、どこを探してもいなかった。
看護婦さんに聞いた。
「にょにょにょ」
「何かな?」
ダメだ、言葉が通じない。
私は、落ち込んだけど病院の中をいっぱいっぱい探した。
そして、先生が私を見つけた。
「瞳ちゃん帰ろう……」
先生は、辛そうにそう言うと私の体を抱きしめた。
「……にょにょにょ」
「博くんはね、遠い所に行ったの……」
先生が何を言っているかわからない。
「だからね
今夜、博くんに会いに行こう」
先生が何を言っているかわからない。
「瞳ちゃん
強くなろうね」
先生が何を言っているかわからない。
先生に連れられて行った場所には、博くんが眠っていた。
博くんは、木のベットの中で眠っていて、周りにはお花畑が出来ていた。
「……にょにょにょ」
私は、博君の体にそっと触れた。
とても冷たかった。
私の瞳から涙が零れた。
ママと同じだ……
ママと同じで、もうすぐ小さな箱の中に入るんだ……
涙が止まらない……
何故だかわからないけど涙が止まらない……
私のせいだ……
私が、あの時止めていれば……
博くんは、冷たくならなくてすんだかもしれない。
私が、あの時止めていれば……
何度も何度も心の中でその言葉を繰り返した。
次の日……
博くんは、小さな箱に入って孤児院に戻って来た。
博くんのお母さんは、お通夜にもお葬式来なかった。
孤児院の片隅に博くんは存在している。
私は、何もできない……
言葉も話す事も出来ない……
私は泣いた
小さく泣いた
私は、空に向かって叫んだ。
「にょにょにょにょにょにょ!にょにょ!」
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