第21話

 はぁ。

 もうね、大好き!


 って言っても声が出せない私には告げれない。


 切ないな。


 私が、そんなことを考えるとあなたは私の方を見た。

 そして、すぐにスマホにメールを送ってくれた。


[どうかした?]


 私は、首を横に振った。


[そっか、ならよかった]


 なにがいいのかわからないけど。

 あなたのその文字にはぬくもりがある。

 それがとてもとても嬉しかった。


[風邪引くよ]


 あなたは、そう言ってメールを送ってくれた。

 そして、マフラーを首に巻いてくれた。


 ありがとう。

 でもね、私。

 今まで黙っていたけど毛玉アレルギーなんだ。


 鼻がムズムズする。

 私は、くしゃみをした。

 するとあなたは、コートを脱いで私の肩に被せてくれた。

 優しいね、暖かいね。

 嬉しくて泣いちゃいそうだよ。


 そんなことを思っていると今度はあなたがくしゃみをした。

 私は、スマホにすぐ文字を入力した。


[コート嬉しいけど、あなたが風邪を引いちゃうよ?]


 その文字を見た貴方は顔を赤くさせた。

 そして、私のスマホにそっと手を触れて文字を入力した。

 スマホを見るとこう書いてあった。


[いいよ]


 短い文章。

 短いしあわせ。


 ああ、なんで私、あなたのことを好きになってしまったんだろう。

 こんなに人を好きになったのは初めてだよ。


 私がそう思ってスマホの画面を自分に向けたとき。

 背中に強い衝撃がぶつかる。


 いい匂いがする。

 この匂いは……


 愛だ……

 愛って書いて[マナ]って読む。

 愛は誰にも優しくて暖かい。

 それでいてとっても綺麗。


 私は、そんな愛のことも大好きだった。

 多分、あなたも愛のことが好き……なんだよね。

 悲しいけど知っているんだ。


 愛は、私の背中をぎゅっと抱きしめたあと後ろから私のスマートフォンに触れる。

 そして、ゆっくりと文字を入力する。


[朝からラブラブ~

 いいなぁー]


 私の顔が赤くなる。

 ラブラブ。

 他の人から見るとそう見えるのかな?

 そうだったら嬉しいな。


 あなたは、愛の方を見る。

 愛もあなたの方を見る。


 すると小さく笑うとほぼ同時に右手を上げた。


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