第20話

 そしたら、その男子は私の頭をぱちんと叩いた。

 痛くはない。

 でも、びっくりした。


 だから泣こうとしたとき……


 あなたが現れたの。


 あなたがその男の子に体当たり。

 そして、私が叩かれた倍の数をその男の子を叩いたね。


 そしたら、あなたが叩いた倍の数……

 その男の子に叩かれてあなたは泣いたね。

 だから、私も泣いたよ。


 それから、12年過ぎたね。


 あっという間だった。


 あなたが私と関わるようになってから……

 私の世界は明るくなった。

 闇に包まれた世界。

 なにも聞こえない世界。


 だからかな?

 私は思う。


 私は、今。

 あなたの声が聞きたい。


 私とあなたの会話はメール。

 出逢ったときは筆談だったね。


 私はあなたと話がしたいから字の練習をいっぱいしたんだよ。

 あなたに見てもらいたいから勉強もした。


 私と最初に会話したことを覚えていますか?


 私が、地面に[友だちになってください]って書いたらあなたはこう返してくれたんだよ。


[れ:いいよ]


 私には、[れ:]の意味はわからなかったけど。

 今ならわかるよ。

 [れ:]の意味が……


 気づけばもう高校生だね。


 同じ高校に受験して合格したとき……

 とっても嬉しかったんだよ。


 

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