#47 地球からの手紙
開始した数十機の無人機との戦闘は、カミハの機体を徐々に消耗させいった。
無数の方向から飛んでくる全方位からの攻撃。それは
「サイヲ、敵の数、残り20」
「だいぶ減ったな。サボってる親玉まですぐに行けそうだ」
「機体装甲、エネルギー残量は共に消耗しつつあります。また遊んでいますね?」
「バレたか」
「あれだけの身体的被害を受けて、まだ懲りてないんですか?」
「これから先の道のりでも十人以上のサング・エリー徒衆団を相手にすることになるんだ。ここで手加減しなくてどうする?」
「舐めプもほどほどにしないと足元を掬われますよ」
「肝に銘じておくよ。敵、残り13。そうだなっ?」
鉄の棺桶の周囲をたかって飛ぶ鬱陶しい影が減少していく。
「有人機が無人機を撃墜していく……?」
目の前の洋上で繰り広げれる小型無人戦闘航空機と小型乗用車ほどの有人機機体の戦闘。その超機動の戦闘の中でも、無人機の人の体の耐久力を無視した機動に、黒い機体のカミハも難なく追い付くとさらにそれされも凌駕して、急制動と急加速を繰り返し一機ずつ撃ち落としていく。
「なんなんだ? あの加速と制止性能は? 秒速一キロで加速をした瞬間に制動距離0で制止させるだって?」
それは既に瞬間移動の領域。
「そんな機動力、中に乗っている人間が無事でいられるはずが……」
「しかし事実。搭乗者の人間は生存している。カザト」
「わかってるさ。ガンラーダ」
「一人と一機でお喋りしているヒマがあるのか?」
すでに全ての無人機を撃ち落とした。黒い機体が空飛ぶ円盤の目下まで接近して制止する。
「全機撃ち落としたのか?」
「機動部と攻撃部分だけ撃ち落として判断回路は無事だけどな」
機械まで殺さない不殺の精神。
「無人機に生も死もないだろ?」
「そんなわけないだろ? 水から生み出されていないだけで機械だって歴とした命だ」
「俺たちの負けだと言わせたいのか?」
「お前らはまだ何もしてないじゃないか? 無人機にだけ手を汚させて敗れたら敗戦の将か?」
「無人機に勝ったお前たちに勝てるとでも?」
「オレはオマエらをこの手でズタズタにしたいんだよっ。それに空飛んでるんだからいいじゃないか。こっちは海上を走り回るのが関の山なんだからさ」
「ガンラーダ。俺たちの勝率は?」
「0%。我々では彼らに勝てない。カザト」
「それでも戦えよサング・エリー徒衆団。お前たちは確率の側の人間だろ? 不確定性原理ッ」
「その名前で呼ぶなぁッ!」
「カザトっ!」
海上のサイヲの挑発に、円盤の機体に乗るカザトは易々と乗った。
ガンラーダの機体を傾けて、攻撃兵装の照準を黒い機体に一斉に向ける。
「なら始めようか。地球からの手紙を思い出せ!」
空中の円盤の機体と海上の黒い機体が機動する。
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