#40 蘇える隠れた変数理論
「ガンラーダ。繋いだかッ?」
「OKだ。カザト。この海域に存在する参加機体と所属艦体の全ての会話は、共同周波数での交戦通信で完全に
「だったら、このまま戦闘は続行させるぞ。ガンラーダ」
「了解した。敵QC「カミハ」のスペックは不明。油断は禁物だ。カザト」
円盤状の量子コンピュータ、ガンラーダが放つ機械的な言葉に、その円盤に乗るハヤミ・カザトという少年は輝いた瞳の色のまま、黒い棺桶の機体であるカミハとサイヲに体当たりを敢行したまま突進を継続している。
「いつまで体当たりをしてるつもりだ?」
「イヤならいつでも避けていいんだぜ? 出来ないはずないだろ。そっちは隠れた変数理論なんだからさ」
隠れた変数理論の事を知っている……。
当然と言えば当然のことだった。サイヲは先の戦闘でガンファイブ、夜の世界の住人を負かし更に見逃しさえした。そこで得られた情報は既に所属するサング・エリー徒衆団全てに行き渡っているはずだ。
「……お前たちはまだこんなモノが欲しいのか?」
空中の円盤の体当たりで押される海上の鉄の機体。その二つの会話は当然、電子機器通信によって可能としている
「当たり前じゃないかっ。隠れた変数理論の登場を俺たちは今か今かと待っていたッ! 俺たちでは手に入れられない力をッ! いや知識と言っていいっ! 俺たちでは永遠に手に入れられない物をお前たちは独占していたッ!」
「違うなっ」
「なにっ?」
「それは違うだろう。同じ知識をお前たちにも与えていた。俺たちは確かにお前たちにも送っていた筈だッ! それを黙殺していたのはお前たちだろう? 俺たちが親切に送っていた知識や情報をお前たち夜の機械のリーダー格であるサング・エリー
「黙れェッ!」
海上の黒い棺桶のカミハから離れた空中円盤のガンラーダが瞬間的な機動で虚空を弧線に描きながら飛び回ると縦横無尽に全方向から体当たりを繰り返す。
「……っく……」
「お前たちに俺たちの何が分かるッ! 今まで信じていた物がまったくの間違いだったと突きつけられた俺たちの気持ちがッ! 間違っていた俺たちには、
……それが、
間違った知識で、償いきれない罪を犯してきた者たちが抱く、都合のいい願望だった。
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