第10話 乱射
「ふはははははっ! フミヤス! もっと飛ばせ!」
そう言う助手席の隆二の目はらんらんと輝いていた。顔からは冷や汗をかき、両眼がブルブルと左右に細かく揺れる。
息は荒く、腕はガクガクと痙攣していてゾンビを狙う照準はまるで定まっていない。
高笑いを浮かべながらただ銃を乱射しているのだ。
隆二はもうシャブを大量に打っている。
もう完全にハイになっていた。
隆二氏は盗んだ軽トラを下足番のフミヤスに運転をさせ、歌舞伎町のキャバレーで働く自分の女を奪還しにきたのだ。
だが今の隆二の頭にはもはやそんな事はなかった。
ただキラキラと舞い散る血しぶきと弾け飛ぶ頭に完全にハイになっていた。
歌舞伎町東口の広場辺りにつくとなにやら異様な格好をした衣服の乱れた少女と日本刀を持った少女が対峙している。
「フミヤス! 止めろ! なんか面白いもんやってるぞ」
「わ、わかました……」
少女たちの前に車を止め降りると全員がこちらを向く。ちょこんと居座るネコが喋る。
「こ、今度はなに!? あなた達は!?」
「わっ、わはははははっ! ネコが、ネコが喋った! ふははははっ!」
喋るネコに銃を乱射する、震えた腕では全く当たらなかった。
怪奇! ヤクザゾンビVS魔法少女 しいな らん @satori_arai
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