第4話 九十九起動
山下組専属、岡部科学者は焦っていた、電話は鳴り止まない。外に姿を見せるわけにも行かなかった。
山下組がゾンビに制圧されその外に出て感染者を増やしてから数日が過ぎた、あまりの異常な状態に政府の対応も鈍っている、科学者岡部は新型ドラッグ、イノセントシンドロームを作った張本人なのだ。
粗悪で安価なドラッグで儲けるつもりだった、外国から入ってきた合法のトベる化学薬品を少し化学式を変えて可燃性のただの葉っぱに吹き付け、歌舞伎町のマンションの一室で店舗兼奥の部屋をドラッグ生成部屋としていたのだ。
だが外国でもすでに人が人を食う事件は起きていた、高速道路脇でホームレスが人間の顔を生きたまま食べていたという事件があった、だがこんな自分が作ったものでこんなことが起きるとは予想外だ。
自分が作ったドラッグで世間が大変な事になっている。自ら自体を収集するため、彼は寝ずに動いた。自身のせいで起こった騒乱のを自身でどうにかしようとするくらいの善意は持ち合わせていた。
彼は世間から逃げ続け、ゾンビは街にまで進出し、数を着実に増やし事態はどんどん悪化していき世間は狂騒極める中遂に完成させた。少女型武装戦闘ロボット九十九式を。
九十九が目を開き尋ねる。
「マスター、私の使命は」
「殺せ、すべてのゾンビをこの世から消せ」
九十九は高校生くらいの少女に見える、それは岡部の趣味だろうか、制服を身にまとてっている。
九十九は軍で研究されていた人型決戦兵器を流用して作った。
岡部の腕とコネを使えば、必要なものを取り寄せるだけですぐに出来上がった
ミニバンに乗り、ゾンビをかき分け騒乱の中心になっている歌舞伎町、騒ぎの中心地トー横を目指す。
イノセントシンドロームは歌舞伎町のマンションの一角で売っていた。トー横に集まるのは居所の無い若者たちばかりで、朝までたむろしてそこで寝る奴らもいる。
居場所がない子共達のたまり場になっているのだ。
若い子に処方箋や一人一つずつしか買えない、過剰摂取するとトベる市販薬を売る奴らがいた、そいつらは合法ドラッグも若者に売り出したのだ。
ただ、ぼーっと立っているトー横キッズと呼ばれる若者たちは魂が抜けたようだ、なぜかゾンビ同士の殺し合いは少ない、元気に動いている獲物を優先して狙うようだ。
九十九は走っている車から身を乗り出し、
「目標発見、直ちに排除します」
「よし、目的を遂行しろ」
博士からの命令が下った。
九十九の指令はゾンビを抹殺すること。
トー横から歌舞伎町の入り口にかけて、特殊車両でバリケードが作られていた。
警察も自衛隊も人間を撃てないのだ。
少女型武装戦闘ロボット九十九はパニックの中の人混みかららゾンビだけを選別認識し、人間では出せない規格外の速さで駆け抜け中を飛び、空中で身体を反転させゾンビの首を日本刀で切り落とした。
いくら痛覚の鈍ったゾンビでも首をはねてしまえばイチコロだ。群れの中を駆け抜け、健常な人間とゾンビとを選別しながら次々と首をはねていく。
新宿東口から通って歌舞伎町の入り口大広場は血の海で染まった。
すると生体レーダーに不可思議なものが映った。
レーダー上で建物を無視してそのまま直進しこちらへ向かってくる。
九十九は夕闇に染まりかけた空を見上げた、するとそこにはプラスチックホウキに跨ったフリルの付いた極端に装飾された服を着た少女と、ホウキの柄の先にちょこんと座る黒猫がふわふわ空を飛んでいた。
……あれはなんだ。
博士にもあんな存在の話は聞いていない、フリルの少女はこちらへ向かってくる。
ゾンビの首をワイヤーアクションの様に飛び跳ね次々と刎ねていく九十九を見てメリルは叫んだ。
「あなたっ!? 人間じゃない!?」
「あなた達は何者」
無表情で九十九は答える。
「私達は魔法少女! あなたのそのそのやり方ではゾンビさん達の魂を救えない!」
「魔法少女……わからない……何を言っているのかわからない……」
純は困った、何がなんだか分からなかった。
突然変な「ケミカルマジカルラブ&ピース!」という謎の呪文で少女の身体になり、ピンク色を基調とした皆が思い浮かべるフリフリの魔法少女の衣装をまといホウキで飛んで行けばゾンビがうじゃうじゃいて謎の少女が虐殺している
「純くん、早く降りて! まずあの女の子を止めて!」
ゆっくりと下降しホウキから降りた。逝っちゃった目をしたゾンビと呼ばれる人間がうじゃうじゃいいる。
新型ドラッグ、イノセントシンドロームのは人の理性のタガを外し、欲望を増幅させる。
12歳の華麗な少女になった純を見てゾンビ達は目の色を変えた。
全速力でゾンビの群れが向かってくる。
純は為す術もない。
フリルのかわいい服はビリビリと無残に破られ肌が露わになる。
純は成す術が無い。
服を破った男ゾンビの性器は屹立している、イノセントシンドロームは性欲のタガも外してしまうのだ。
魔法少女になった純は変身し、性器まで女性になっていた。
純の引き攣る顔、浮かぶ涙。
女性器にはまだ違和感を感じていた。
だが、男ゾンビは屹立したモノを濡れてもいない純の性器に挿入された。
そのままされるがまま犯される。
純のプライド、尊厳が恐怖と供に壊れた
純の悲鳴は歌舞伎町のど真ん中で虚しく霧散する。
九十九は事の成り行きを静かに見守っていた。と。
ボトリ。
すると、純を犯していたゾンビの首が落ち、血しぶきが舞った。
九十九が純を犯していたゾンビの首を刎ねたのだ。
純は血の気が引き、我に帰る。
「あなた、殺されるわよ」
九十九は静かに純に言う。
メリルは泣きそうな声で言う。
「純くん大丈夫!? どうして……どうしてこんなことに……ごめんなさい、私のせいだわ……」
「なんなんだよコレ……」
純は羞恥でビリビリに破れた衣装で身体を隠し言った。
その間にも九十九はバサリバサリとゾンビの首を血で滑る日本刀で切り落としている。
「純くん! 一度お家に帰りましょう!」
メリルが叫んだところで銃声が響いた。
軽トラックがゾンビの群れをなぎ倒しながら向かってくる。窓から銃を構えゾンビ達を撃っているのは隆二だった。
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