第2話 イニシエーション
少年が大人になる、その明確な瞬間というものはあるだろうか
ある日椎名純が目覚めた時、なにかいつもと違う違和感のようなものを感じた、なんというか自分と世界との距離が。
なんだか騙されているような気分でベッドから這い出し、部屋の片隅にある姿見に自分の姿を映す。
まるで女子のように骨格の細い華奢なからだ。
純は思春期にありがちな性同一性の問題を抱えていた。
嗚呼……自分が女だったらどんなによかったろう。
既に12の歳になる純は精通を済ませていた。性への憧れとその恐れ、嫌悪感と肉体的なレベルでの欲求。彼は相反する気持ちを内面に飼っていた。
そんな時、窓の外に目をやってみると目の前の塀の上に黒猫が立っていてこちらを見つめていた。
「ねぇ、純くん大変なの! 私達に手をかして!」
わぁ! 猫が喋った!
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