怪奇! ヤクザゾンビVS魔法少女
しいな らん
第1話 始まり
「兄貴ぃ、この大量のブツどないしまひょ」
「タケ、このご時世ヤクザも腹すかして生きとんのや、どないしまひょじゃやってられねぇ、どうにかするんがお前の役目じゃい」
タケ山積みになった新型ドラッグを見つめ頭を悩ませた。
中国ルートで新しく出回ったこの新型ドラッグは人の脳を根本的に変えてしまう。
強力な酩酊、高揚によって一吸いしただけで理性を壊す。
特に人の根源的な欲望、食欲を刺激する。
そしてこれも人の消せない欲望、暴力を刺激する。
つまり人食いになるのだ。
安価に手に入り、まだ法規制されていない頃は飛ぶように売れたが、その効果を知り、買うものはいなくなり法で徹底的に規制された。
そうなったら仕方ない。タケの足りない頭では、ヤクザ内で内需を高めるしか方法は思いつかなかった。
「なぁヤス、面白いものがあるんだけどやってみないか」
ヤクザに情もへったくれもなかった。
仁義など建前だ。
ヤスは何も知らない弟分のタケに可燃性の葉っぱに薬品を染み込ませただけのお粗末なドラッグを吸わせた。
みるみるうちに目が血走る。
獣のようなうめき声をあげる。
部屋の中は血しぶきで赤黒く染まった。
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