第9話 ばくはつ!

 オリンピック会場には錚々たる面々が集結していた。

 各国の有名人はもちろん、政治家各種、トランプまで遊びに来ていて、皆、ウランちゃんのステージを今か今かと心待ちにしていた。

 直前まで色々と大変な事はあったが、舞台を遅らせるわけにはいかなかった。

 ウランちゃんは薄い桃色のレースの衣装を着てステージへと駆けた。

「みなさーん! こんにちはー! ウランでーす!」

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおむ

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおむ

 とてつもない歓声が響き渡った。

 皆サイリウムを持っている。トランプも。

 振り付けも全員完璧だ。

「では一曲目、聞いてください、『恋はアトムボム』


♪『恋はアトムボム』


 プルトニウムの風に乗って

 追いかけるの君の背中を


 恋してるの

 君に(君に)君に(君に)

 夢見てるの

 君と(君と)君と(君と)

 ホウキのジェットで大空を舞うのを


 Ah 恋はアトムボム 

 原子爆弾だってかなわないさ

 AH 恋はアトムボム

 核爆発並みのこの恋は



 そしてアウトロが流れ、皆が一斉にジャンプし、地面が揺れた瞬間大爆発が起こった。

 ウランちゃんの核爆発だ。

 なぜウランちゃんが爆発したのか。それはあの小柄な男が首相にかまっているあいだに、ウランちゃんの背中にプラスチック爆弾を設置しておいたのだ。

 ウランちゃんは感情はあるが、痛覚や感覚は無い。

 ではなぜ、他のスタッフたちはそれに気づかなかったのか。女性の身体を調べるのは……とのことだ。

 つまり、世界中の主要人物はみな核爆発で死んだ。

 世界は旧世紀のような戦争を始めた。そして、その戦争で経済が活発化し、復興しはじめている。

 こうして人間はまた同じ事を起こすのだろう。

 ウランちゃんは最後何を思ったのだろうか。

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