第3話 ろりこん!
暗い部で一人、パソコンのモニターだけを灯らせたまま、彼は震えていた、モニターに映る少女の美しさに。
「現実にこんな子がいるとは思いませんでした、思いませんでした、思いませんでした」
木村拓哉(38)無職は、YouTubeで流れるウランちゃんの動画を見ながら、誰に対する言葉なのだろうか、一人そんなことを思った。
これは夢なのではないだろうか。いや、夢が現実になったのだ。そう胸を震わせたとき、パソコンからメッセージの通知がピコッと鳴った。
「キム! あの動画見たか?! すげーことになってるぜ?」
「タク! お昼ごはん置いておくからね! チンして食べなさいよ!」
「うるせーババア! チンじゃなくて電子レンジって言え!!!!」
間を置いて。
静寂が訪れてから、キムだかタクだかはパソコンに向かい、彼のネットの友人である暗黒の龍騎士に興奮収まらぬままチャットを返した。
「なあ、これって現実だよな?」
「お前が何を考えてるかは分かってるよ」
ひきこもりであった暗黒の龍騎士はすぐにキムタクの家へ新幹線に四時間乗って駆けつけ、彼らはそれから一週間不眠不休で部屋に篭もり自作ウランちゃんグッズを作り、政府へ問い合わせ、イベントへの出演交渉を企画した。
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