第18話 内緒のお話。

「遅かれ早かれ、こんな日は来るとは思ってました」


物騒なオーラを隠しもせずに学園長室に乗り込んで来たリリアに、エイブラムは溜め息混じりに呟いた。


「まあまあ、落ち着いて下さい、カロリーナさん」

「リ・リ・ア」

「おや、失礼。リリアさん」


律儀に言い直され、毒気を抜かれたリリアは深い深い溜め息を吐いた。


「言いたいことはたくさんあるけど、長くなるから割愛するわ。アーサーに素で行けって言われたんだけど。どう思う?」


いきなり本題に入ったリリアに苦笑しながらエイブラムは大きく頷いた。


「そうですね。学校を壊されると困りますが、あなたが全力を出さない限りはなんとかなる程度のシールドは張ってますし。校外であれば存分に発揮していただいても構いません。多少の怪我は大目に見ますが、死者だけは出さないように留意して下さい」

「あら。それだけでいいの?」

「それ以上求めてしまうと、あの方々は同じ事を繰り返すだけでしょうから。まあ、でもそうなると…」

「私の素性を明かす必要があるわね」

「まあ、名乗らずともいけるかもしれませんが、あなたがそこそこ本領を発揮してしまうといずれバレるでしょうし、衝撃を与えておくのもいいかもしれませんしね」

「そうね。…私がカロリーナだとバレると色々厄介な輩が発生するかもしれないけど」

「その辺は私が対応しましょう」

「任せた」


あー旦那にだけはバレないといいな、とか言いながら、リリアは細かい打ち合わせの後、学園長室を後にした。

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