第14話 絆の向こうに。
「とりあえず、洞窟は抜けれたようだな」
「あそこに町があるよ」
「回復アイテムも心配だし、店や宿もあるかもしれない。行ってみよう」
命からがらギリギリのところで闘い続けていた一行は、ダンジョンを抜けた先にあった町へと足を向けた。
「わー。武器屋があるよ!」
「武具屋も道具屋もあるな。回復アイテムを中心に色々買い揃えておこう」
「その前に、お腹空いたよー! ゴハン食べ用よう、ゴハン!!」
「いや、先に宿を押さえよう。この人数だし、宿が取れなかったら野宿になってしまう」
「うーそれは嫌だぁ」
そんな会話をしながら、一行は宿屋の扉を開いた。
「いらっしゃい」
「この人数なんですが、泊まれますか?」
「今日は誰もいないからねえ。泊まれるには泊まれるけど、ちょいと狭くなるけどいいかい?」
「体を休めることができるだけありがたいです」
「そんならついていらっしゃいな」
宿屋のおかみさんに案内されて、部屋へ向かう。とりあえず男女に別れて部屋割りをし、各々自分の部屋へと移動する。
荷物を置くと、部屋に鍵をかけ、一同は改めて街へ繰り出した。
「とりあえず飯食おうぜ、飯!」
「賛成ー! お腹空いたー」
「あ、あそこなんてよくね?」
「いいねー!行こう行こう!!」
手近な居酒屋に入り、思い思いに注文する。
戦闘での疲れもあってしばらく黙々と食べていた一同は、人心地つくと、誰ともなく口を開いた。
「あれだけ闘ってやっとレベル2、か」
「俺達それなりにできるつもりだったけど、全然だったな」
「もうちょっと真面目に授業聞いておけばよかったねー」
「だな」
「でもさー、なんかさ、不謹慎かもだけど、楽しくない? あたしレベル上がったとき、嬉しかったなあ」
「あ、わかる! 勝てた時の爽快感もなんとも言えない感覚っていうか」
「怖いけどーでもみんなが一緒だから平気ー」
「いつ、どうやったら帰れるのか見当もつかないけどさ。とりあえず前に進むしかなさそうだ」
「あ、あのさ! さっき荷物の中整理してたらこんなの出てきたんだけど」
そう言って鞄の中から取り出したのは、一枚の地図だった。
お前もっと早く出せよ、と口々に言いながら、地図を開く。
「えっと…今いるのはこの町、か」
「さっきの洞窟が、ココ」
「ラスボスがココ…って書いてあるね」
「もしかして…このラスボスを倒したら帰れる、って事かな?」
「えー遠いー」
「てかボスとか倒せんの?」
「ボスのいる城までにもいくつかダンジョンがあるみたいだな」
「レベルを上げながら進めって事かな?」
「まじかー」
「んーでも、帰る方法がわかったならやらない、って選択肢はないんじゃない?」
「だな」
「あ、ここに精霊の洞窟ってあるよ」
「えっと…確か精霊との契約には契約の指輪とかいるんだよな?」
「どこにあるんだろう?」
「近くの町で情報集めるしかないんじゃないかな」
「そうと決まれば、必要な装備とかアイテム買いに行こうぜ!」
「ボスを倒して帰ろう!」
「「「おー!!!」」」
一同は残りの料理をかきこんで店を出ると、三班に別れ、それぞれ買い物へと繰り出して行った。
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